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第192話

「僕は、なにをお手伝いすればいいですか?」  病人の相良さんを放っておくわけにはいかない。僕にできることがあるなら、なんでもしたい。  相良さんはぽつぽつと喋り出す。時折、苦しそうに眉を寄せながら。 「夜ご飯、食べたい……あと、洗濯物……それと、李子くんが嫌じゃなかったらでいいんだけど」  そこまで言い淀んでから、そっぽを向いて相良さんが呟く。 「濡れたタオルとかで汗、拭いてくれると助かるな」 「わかりました」  僕の返事を聞くと「ありがとう」と照れたように目元を伏せた。  僕は相良さんにしっかり休むように言い残して寝室を後にする。  まずは、夜ご飯から。冷蔵庫を調べて使えそうな具材がないかチェックする。冷凍庫にお米がラップでくるんであった。2つ。それを電子レンジでチンする。  冷蔵庫には、卵が1ケース。それと、乾燥わかめが棚にストックされていた。とりあえず、これでお粥を作ろう。卵とわかめとお米。この3つがあれば、大丈夫。  鍋に具材を入れてコトコト煮込む。8分くらい。僕は自分でも自信があるけど、あんまり料理上手なほうじゃない。今だってスマホでお粥のレシピを見てそれ通りに真似して作っている。きっとレシピも見ずに作ってたら、食べられるものではなくなってしまう。  しかも、今回は自分が食べる用ではなく、相良さんが食べる用なのだ。いちだんと失敗できない。

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