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第202話
「雛瀬、です」
僕は彼のスタイルのよさに目を奪われてしまって。うまく自己紹介ができなかった。それを見た相良さんがさりげなくフォローしてくれる。
「李子くんは、きみのことをみて驚いちゃってるんだよ。あんまりにもかっこいいから。でしょう? 李子くん」
僕は相良さんの言葉にこくこくと頷く。すると、仁さんが「よかったなあ」と大笑いして透夏くんの背中をばしばしと叩いた。
「痛ェなあ」
煩わしそうな目が、仁さんを射抜くように見つめる。でも、それでも。僕の目は、透夏くんの首元にいく。
僕があまりにも前のめりで見つめていたからだろう。仁さんが、透夏くんの首に指を這わす。そして、《それ》をゆっくりと撫でた。慈しむように、大きな無骨な手で。
「この子、俺のやけん」
その瞳が、牽制するように僕と相良さんに注がれる。笑顔なのに、目の奥に鋭い光が見えた気がした。
Collar《カラー》が、透夏くんの首に付けられていた。それは、真珠のような煌めきを放つ。広間の天井からつり下がるシャンデリアに反射して白い光を放っている。真珠色の丸い小さな粒が連なってぐるりと円を描いて首を囲っている。
「すごく綺麗だね。どこの?」
相良さんも興味津々といった様子で、透夏くんの首元のCollarを観察する。
「透夏。説明してやり」
ちょっと嬉しそうに仁さんが僕らを見る。透夏くんは呆れた声をもらすと、早口で説明した。
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