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第203話
「俺、金レだからマジモンの金属は付けらんなくて」
待って。金レって、なに? 僕は透夏くんの言葉の意味がわからずに、話が頭に入ってこなくなる。すると、僕があまりにも阿呆な顔をしていたのか、透夏くんがもっと呆れたため息をついて言う。
「金レっていうのは、金属アレルギーのこと。だからこれ、紙製のCollar。……仁さんが色んなとこにかけあって作ってくれたやつ。濡れてもヨレたり、溶けたりしないから雨の日でも心置きなく付けれるだろって」
うんうん、と大きく頷く仁さん。
「で? 満足した?」
透夏くんが仁さんを恨みがましそうに見つめる。
「透夏はええ子やなぁって思ったわ」
わしゃわしゃわしゃ、と仁さんが透夏くんの頭を撫でる。ああ、DomがSubのことを褒めるときは皆頭を撫でるのかなと、僕はそう思った。
「ヤメロ髪が崩れる」
仁さんからのよしよしを殴り返す勢いで応対する透夏くん。なんか、2人の温度差と噛み合ってないようでぴたりとハマっている掛け合いが見ていて飽きない。
「ちょっと、2人に李子くんのこと頼んでもいい?」
「俺、他に挨拶してこなきゃいけなくて」申し訳なさそうに笑う相良さんを、僕は少し心細くなって見つめる。けど、相良さんの邪魔はしたくないから。そっと頷いた。
「ええけど、俺もお前についてくわ。ほな、後は透夏頼んだ」
「……あーい」
気だるそうな返事。やる気、全然ないですみたいな。僕のことを視界にも入れずにスマホを高速でタップしている。現代っ子って感じだなあ。
「李子だっけ。おまえ、それが素?」
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