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第206話
話すことがなくなってしまって、僕はやはり透夏くんの首に付けられたCollarに目がいってしまう。それはmateのゴールの証だ。どうしても気になってしまうから、僕は透夏くんに勇気をだして声をかけた。
「そのCollar。どういうふうに渡されたか聞いてもいい?」
「……いーけど」
ぶっきらぼうに呟くと、ちょっと目線を落としてから透夏くんが話し出した。
「今年の夏。数ヶ月前かな。俺の誕生日、8月なんだ。でも、仁さんに日付を2週間間違われた。誕生日当日はそもそも会えなかったし。破局寸前かよって思ったらさ、誕生日から2週間後に仁さんの家に行ったらクラッカーばんばん鳴らされてさ。そのときに、誕生日プレゼントだって言ってCollarを付けてくれた。まじで俺の誕生日覚えられてなかったっぽくて、その後俺がマジギレしたけど、これ渡されて秒で許した」
す、と自分の首元につけられた白いCollarに触れて。愛おしそうに、撫でるんだ。
「これ、結構気に入ってんだ。白は、どんな色とも喧嘩しないから」
しあわせそうな表情。僕はそんな透夏くんを見て、いいな、と思った。僕も、諸伏さんと透夏くんみたいなmateになりたい。そしてきっといつか、相良さんにCollarを付けてもらうんだ。それが、僕の夢。
だって諸伏さんと透夏くん。お似合いだもの。
つくん、と微かに胸が痛む。
僕は? 僕は相良さんのmateとして相応しいのかな。あんなにかっこいい人の隣にいても、大丈夫なのかな。考え出したら止まらないのが僕の悪い癖。
「李子。ちょっと飲み物もらってくるから、その辺で待機な」
「ありがとう」と、既にバーカウンターに歩いていく透夏くんの背中に言い放つ。僕は1人、壁際に寄って人々の輪を眺めていた。
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