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第215話
その後はしばらく相良さんの仕事の話を聞いた。愚痴っぽかった。珍しいなと思った。相良さんは仕事の話をあまりしないから。弱ってるのかもしれないとも思った。このあいだ、体調を崩したばかりだし、不安定なのかなって。先に寝落ちしたのは相良さん。だから僕は彼の寝顔を静かに見つめた。
今日のあれは、なんだったんだろう。Domのお仕置? それにしては、力加減が変だと思う。本気で、蹴られた気がする。
「あ」
僕はあることを思いつく。ベッドの上に放り投げておいたスマホを手にした。メッセージの送信先は決まってる。
今日会った2人に、mate同士のあれこれを聞いてみよう。2人なら、これが普通なのか異常なのかわかるかもしれない。それをもとに、今後どうやって相良さんと向き合うかを決めていけばいい。
それに。2人がCollarをもらうまでの過程を聞いてみたかった。2人は幸せなmateに見えたから。僕も、あんなふうになりたいと思ったから。
僕は相良さんの寝顔を見て、目を閉じた。
明日になったら。わすれられますように。
今日のことも、この前のことも全部わすれて、また楽しい日々が続いていきますように。
僕と相良さんは幸福なmateなのだから。
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