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第220話
あ、と口を開いて。舌を突き出す。大小2つの銀色の舌ピアスが薄暗い部屋の中で光る。あれ、この前は1個しかなかったはずなのに。
「昨日も俺がヘマしたから、お仕置で舌ピもう一個追加されちった」
「できたてほやほやよ」と、舌を回して見せてくれる。
「うわ、痛そー。俺は無理だからすぐセーフワード言うわ」
透夏くんが顔を歪めて呟く。僕も、痛いのは怖いなと思ってせつくんを見る。
「まあ、俺Dom様に飼われる前は地味男だったんだけど、Dom様がたくさん着飾ってくれるからお洒落に目覚めちゃって。服とか化粧とかでばんばん金飛んでくの」
「困っちゃうよなー」と、手をひらひらさせる。
「せつくんは、セーフワードは言わないの?」
僕からの質問。に、とせつくんの目尻が垂れる。
「ほとんど言わないかな。Dom様の期待を裏切りたくないから」
耳朶に付けられた愛の印。それを、指先で愛おしそうに撫でるから。僕はしばらくその手の動きを眺めてしまった。
「じゃあ、次俺な」
よし聞け! と言わんばかりに透夏くんがにこにこする。
「俺は……仁さんが言葉で攻めるのが好きだから、好きにさせてる」
言葉責めか。僕はまだ、されたことないかもしれない。透夏くんが続ける。
「あの人、関西とか東北とか福岡とか色んな場所を幼い頃から転々としてきた人だから、方言ごちゃまぜでさ。それが効くんだよなあ。もう、ヤバい。まじで照れるから。おまえらにも味わわせてやりてえよ」
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