223 / 276

第226話

「朝と夜のトレーニングのとき、俺のことダンベル代わりにするのやめてくださいって言いたいかな」  ぶ。と透夏くんが。ベッドをばんばん叩いて笑う。僕は、以前相良さんに抱っこしてスクワットしてもらったことを思い出して、なんだか共通点が見つかってうれしくなった。 「まじかー。おまえ軽いのに意味あんの?」 「っDom様はムキムキじゃなくて、健康的な身体を得るために鍛えてるんだよ。だから、俺くらい軽いのがちょーどいいの!」  お湯が沸騰しそうな勢いで喋るせつくんを見て、Dom様の名誉を守るために必死なんだなあと思う。なんて強い忠誠心……。  あ、このタイミングで聞いてみようかな。  僕は顔を真っ赤にしているせつくんに恐る恐る声をかける。 「せつくん。あの、……せつくんがCollerをもらったときの話、聞いてみたいんだけど、いい?」  ベッドの上で寝技をかけあっていた2人の動きがぴたりと止まる。 「……いいよ。透夏、離して」 「わったーよ」  透夏くんが寝技を外す。せつくんは、ベッドの上で体育座りをして俯いた。 「Collerを付けてもらったのは2年前のクリスマスだった。俺のDom様、クリスチャンだから。熱心なほうじゃなくて、日本人が仏教の教えを守るみたいな感じの。日常的なやつ」

ともだちにシェアしよう!