235 / 276
第238話
枕の右側。もう定位置になってしまったあかちゃんあざらしのぬいぐるみに鼻を埋める。
「どうしよ……」
どうしたらいいのか、わからない。
志麻さんの見解によると、僕がこのまま相良さんの過激なplayやお仕置を受け続けたら僕も千隼のようにサブドロップになってしまうんじゃないか。そう、心配してくれている。
実際のところ、相良さんに蹴られたり頬を叩かれたのは事実だ。怖かったし、嫌だと思った。やめてと言っても彼はやめてくれなかった。
結局、今日は相良さんがなぜそんな痛めつけるような言動をするのかの理由はわからなかったけど。
ここからは、僕と相良さんの2人の問題だ。
ちゃんと向き合って、話し合いたい。
僕はすぐさまスマホを開いた。相良さんにメッセージを送る。『話があるので、お時間ある日を教えてください』数分もしないで返事が来る。『今週の金曜日の夜だったら空いてるよ』と。僕はゆっくり息を吐き出してから、こうも送った。『僕の家でお話がしたいんです』すると『いいよ』と言葉を添えてOKマークをつけたウサギのスタンプがくっついてくる。
よし。日付は決まった。あとは、僕がうまく気持ちを伝えられれば大丈夫。きっと、相良さんもわかってくれる。
明日の仕事に備えるため、その日は22時に布団に入った。頭の中では、細く、薄くなった千隼がうつる。僕は千隼じゃない。僕は僕で、相良さんは相良さんだ。大丈夫。僕らは幸せなmateなのだから。
ともだちにシェアしよう!