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第241話
相良さんが、ゆらゆら揺れる視線で僕を見下ろす。
「こんな俺を軽蔑する?」
想像もしていなかった相良さんの話に、言葉が出てこない。だから僕は、せめて、せめて、伝わるようにと相良さんの手をきゅうと握る。首を横に振って。
「……李子くんはほんとうにやさしいね」
そんな、辛いことがあったのに、この人は。人前で笑顔で振る舞える人なんだ。弱みを見せようと思えばいつでも見せられるのに。それをしない人なんだ。
「優希さん」
ぴく、と相良さんの耳が反応した。戸惑いを隠せない瞳が僕を見つめる。
「僕と出逢ってくれて、ありがとうございます」
相良さんは目を見開いて、そのまま動かない。
「僕、小さい頃から一人ぼっちだったから。こんなふうに、人と深く関わることなんてなかったし。ましてやmateになるなんて夢の話で。相良さんのおかげで、志麻さんや諸伏さん、透夏くん、せつくん、せつくんのDom様にも会えて、すごく嬉しかったんです。僕のちっぽけな世界が広がっていったんです」
僕は照れ笑いを隠せないまま相良さんを見上げた。
「だから全部、相良さんのおかげです」
うまく、笑えているかな。相良さんに感謝の気持ちを伝えたい一心だった。
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