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第263話 愛の使い方
「あちいー。もう5月だって。春おわったジャン」
せつくんの不機嫌な声に思わず振り向く。着ていた小さな穴あきタンクトップをひらひらとお腹の前で仰ぐ。ああ、だめだよせつくん。そんな綺麗なお腹見せて街中歩いちゃ。また、Dom様のお仕置受けちゃうよ……。
そんな心配をする僕をよそに、せつくんは飲んでいたタピオカミルクティーをずこーっと吸う。
季節は初夏。5月の東京は蒸し暑くて、いよいよ夏が本格的に始まるのだと教えてくれる。僕の隣で歩くせつくんを見上げる。透夏くんは今日は仁さんと旅行に行ってるから来れてないけど、あのラブホSub会からずっと僕たち3人は集まって語ったり遊んだりしている。僕はそんな友達ができたことに感動していた。しかも、同じSubという第2性別。2人とも良い人で、僕のことを気にかけてくれていた。
1回目のラブホSub会で話した相良さんの痛みを伴うお仕置についても、2人には説明済みだ。2人とも心配そうな顔をしていたけれど、李子の決めたことならと僕のことを応援してくれた。
相良さんにCollerを付けてもらってから、数ヶ月が経っていた。僕らの関係はそれなりに良好だと思っている。
でも、最近は相良さんの仕事が忙しくなって毎週会うことは難しくなっていた。よくて、2週間に1回とか。本音を言うと、寂しくてたまらない。でも、相良さんの大好きな仕事を奪いたくはない。相良さんには、仕事も充実させてほしいから。
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