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第296話 マンネリ化とセックスレス
仕事で存分に力を出せていないと感じた僕は、気分転換も兼ねて休みの日は街を散策したり、手の込んだ料理を作ってみたり、香水やヘアオイルを変えてみたり、アロマをたいてみたりしていた。
そういった日々の細々とした変化は、味気なくなりつつあった僕の日常を華やかにしてくれたと思う。しかし、一方で優希さんとの関係にマンネリ化を感じているのも事実だった。
優希さんといれるのは、夜から朝にかけてがほとんど。休みの日には1日一緒にいることもできるけど、優希さんは会社の得意先の社長さんとゴルフに行ったり、職場の先輩のホームパーティーに呼ばれたりしていて休日も忙しい様子だ。
もちろんホームパーティーには僕も連れて行ってもらったけど、優希さんの知り合いがたくさんいる中で僕だけが1人浮いているような感じがしてあまり馴染めなかった。
そんな僕を帰宅してから「気にしなくて大丈夫」と励ましてくれるけど、そんな優しさがたまにひりついて痛くて、僕をひとりきりになりたくさせるのだ。
こんなに仕事熱心で、僕との生活のために働いてくれて、僕を愛してくれているのに、僕はないものねだりばかり。そんな自分の欲深さや浅ましさに声を失った。
そういったマンネリ化の経緯もあって僕たちは今大きなカップルの危機に直面している。長く付き合っていれば必ず出てくるであろうと言われているアレ。
そう。僕は今、優希さんとセックスレスなのだ。
きっかけは何だったんだろう。何か大きな出来事があったわけではないと思う。僕と優希さんは滅多に喧嘩をしないし、お互いに譲れないことがある時はきちんと話し合いをしている。
ここ数ヶ月で印象に残っているのは、掃除のやり方の食い違いを話し合いで解決したことくらいだ。優希さんは夜にお風呂に入った後、早朝にコールドシャワーをする習慣がある。そのため、浴室の掃除をお願いしているのだが起きたてで眠たい中、出勤前で忙しいと軽く浴槽を洗うだけで仕事に行ってしまう。
後からぼくが確認すると、ボディーソープが洗い流せていなくて浴室の床がぬるっとしていて、以前転びそうになったことがあった。
そういった経緯から朝にコールドシャワーをするのは良いけど、床をしっかり洗い流して欲しいと伝えたのだ。
その時、優希さんは
「そうだったんだ。気づかなくてごめんね。次から気をつけるよ」
と申し訳なさそうに眉を垂らして反省していた。
こんなの、別に同棲してたらよくある話だよね? と僕は思うんだけど……。
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