20 / 212
第21話
あれから俺らは何となく四人で行動するようになっていた
「砂川 移動教室だよ」とか
「砂川 体育いくぞ」とか
「砂川 昼食べよう」とか
率先して呼んでる俺
その度 可愛い笑顔で砂川は走って俺達の所に来てくれる
さすがに帰りまでは文化部と運動部
なのでなかなか一緒にはならない
偶然会えば寄り道したりはしているけど
今日バスケ部はミーティングだったのでふたりとは別行動だ
携帯がなる 砂川だ
「あっ 沢木君今大丈夫?」
「お疲れ 今ミーティング終わって帰る所 何?」
「良ければなんだけど 美術室に来られる?今から」
「あ~良いよ 待っててすぐ行くから」
ノックをすると
「はい どうぞ」
砂川の声?少し低いけど
「入りまーす」
砂川はキャンパスに向かっている
「あっ有難う ちょっとだけ
窓際に立ってくれる?
構図がまとまりそうなんだ」
いつもの砂川とは明らかに違う
落ち着いて男ぽっさを纏ってると言うのか思わずゾグゾグした
「この辺かな?」
「もうちょっと体は窓のほう
顔は俺のほうに 少しだけ
あぁ向きすぎだなぁ」
注文通りにはなかなか行かず
砂川は笑いながら近づいてきた
「緊張し過ぎ」
そして俺の顎を優しく掴み角度を直す
こんなに綺麗な指?
「顎少し上げて うん 良いなぁ」
心臓が壊れる 砂川に聞こえるよ
砂川はそんな事お構いなしに
まじまじと俺を見る
「沢木君 綺麗だよ」
砂川は離れて何枚か写真を撮り俺に見せてくれた
夕焼けの中にシルエットとして俺がいる 確かにいい感じだ
「有難う!助かった」
その瞬間砂川の親指が俺の唇に触れた
嘘だろう!
やばい!告ってない 告らなくちゃ
「砂川!俺は 俺は…砂川がす…」
柔らかい唇に塞がれてしまった
砂川はそっと唇を離すと
「良かった 両想いなんだね」
そして砂川に優しく抱き締められた
ともだちにシェアしよう!