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第70話

「そう言えばこれ母親からおばさんに渡せって」 俺は矢沢に紙袋を渡した 「何?」 「なんだっけ?佃煮とか何とか 家あんま食べないから よかったら食べてって」 矢沢は高校に入学と同時に引っ越しをした…まあ家庭の事情って言う奴 「おー有り難いね おばさんによろしく言ってくれって なんて今だよ 教室で良かったろうよ」 「だなぁハハハ悪いな  どう?薫ちゃんは元気してる?」 「まぁな環境変わったからなぁ 少しは…でも環境変えても 形変わってまた問題って起きてくるんだなぁ やっぱり薫本人が本質と向き合う しかないのかなぁって思うけど  簡単じゃないよ」 「そっか環境なんて一時的なもんか…」 「だなぁ…」 「今度遊びに行くよ 薫ちゃんにも逢いたいし」 「喜ぶよ 圭吾が好きだから 本当来いよ…そうだ!彼奴らも一緒に呼ぶわ」 「大丈夫なんか?知らない奴らだぞ」 「話しはしてるさ 好弥の賑やかな事も圭吾と優のことも薄らとな」 「えっ!!!!えっ~ なんだって?」 「そりゃ驚いてたよ でも羨ましいってさ」 「お~お~よしよし」 「ばーか」 屋上のドアが開き砂川と富永が購買の袋を見せながらなんだかすげぇ楽しそうに走ってくる 「お待たせ~ 新 圭吾~」 「好弥 優 お~有り難うなぁ」 普通の風景が嬉しい 何気ない日常が輝いている それって当たり前じゃないんだよな

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