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第71話

「そう言えばこれかーちゃんからおばさんに渡せって」 俺は矢沢に紙袋を渡した 「何?」 「なんだっけ?佃煮とか何とか 家あんま食べないから よかったら食べてって」 矢沢は中学まで近所に住んでいた 家族ぐるみのつき合いだったが 高校入学と同時に引っ越しをした…まあ家庭の事情って言う奴 「おー有り難いね おばさんによろしく言ってくれってさ 何で今よ~教室で良かったろうよ~」 「確かに~悪いな~ ところで薫ちゃんは元気してる?」 「まぁな環境変わったからなぁ 少しは…でも環境変えても 形変わってまた問題って起きてくるんだなぁ やっぱり薫本人が自分と向き合う しかないのかなぁ 簡単じゃないよ」 「ったくさ あんなにいい子なのに 辛いな…薫ちゃん 今度遊びに行くよ 薫ちゃんに逢いたいし」 「喜ぶよ 圭吾が好きだから 本当来いよ…そうだ!彼奴らも一緒に呼ぶわ」 「大丈夫なんか?知らない奴らだぞ」 「話しはしてるさ 圭吾と優のことも薄らとな」 「えっ!!!!えっ~ なんだって?」 「そりゃ驚いてたよ でも羨ましいってさ」 「お~お~よしよし」 「ばーか」 屋上のドアが開き砂川と富永が購買の袋を見せながら なんだかすげぇ楽しそうに走ってくる 「お待たせ~ 新 圭吾~」 「好弥 優 お~有り難うなぁ」 普通の風景が嬉しい 何気ない日常がある 何も当たり前なんかじゃない

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