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第76話

「何が薫ちゃんをあんな状態にするの? 聞いて良いのなら…」 砂川と富永はじっと俺をみた 「いずれ新も薫ちゃんに逢わせるって言ってたから… 俺も詳しくは聞いてないけど 薫ちゃんは小さい時入退院を繰り返していて まあ古い病院だったらしくて 五歳ぐらいの時仲良しの子の病室に遊びに行って帰る途中迷子になって 病院中大騒ぎになって どうやら誘拐だったらしいんだよ 夜中大泣きしながら歩いている薫ちゃんが発見されて…悪戯とかはされてなかったけど 真っ暗な部屋に閉じ籠められたって薫ちゃんが言ってね 病院だから音とか響くし 変な声聞こえたらしく それがトラウマになってビクビクする子になってしまった 外にも行かなくなり 学校も休みがち そうなると虐めの対象にもなるし 新はもう向き合わなきゃって言うけどね…」 「可哀想に 酷い…五歳なんて…」 二人とも泣き出してしまった 「落ち着け なっ 落ち着け」 「ところで好弥 その荷物何?」 「これ…新がしっ心配で お母さん独りで付き添うの大変かなって思って… 明日は…ここから学校に行く事にしたから…」 富永が震えてる 「新に何かあったら生きてられない…怖くて 離れていられない」 砂川が富永を抱き締めた 「大丈夫だよ 俺らもいるからね そうだよね圭吾!」 俺は二人を抱き締めた 無事手術は終わり 矢沢の母親には俺が連絡を入れ 富永が今晩付き添うこと確認して 俺と優は病院をあとにした

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