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第84話
「良いじゃぁない 泣いたって」
「手を握ってだよ」
「駄目なん?」
「いゃ 駄目じゃないけど」
「なんだよ~」
暫く黙っていた矢沢が
「ちょっと前から
好弥の感情のぶれが結構激しくて
この間のお前らと連絡取れないって 俺が心配しないってバンバン叩いて背中に顔埋めて泣くか?」
「で?そのまま?」
「仕方ねえよ 落ち着くまでそのままだよ」
「俺が同じことしたら?」
「即羽交い締めだ!!!!」
「好弥にはしない?なんで?」
「好弥だからかな…」
「なんじゃ?」
「お前は!好弥がそうしてきたら?」
「即羽交い締めだよ」
「俺がそのままにしているのは
優だけだから」
「病人には刺激強いかも
でも 新よ 変化はおこるものだよ」
「点と点を繋いで見たら?
この際だからさ
例えば好弥が傍にいたとき
いないときとかな」
「えっ!」
「えっ!じゃねぇよ よく考えよ~」
「うっせ」
「ただいま~新あったよ!」
「何かと思ったらシャンプ~
アイドルのあの子がCMして…」
ケラケラ笑う優を思わず
抱き締めた
優は…
「えっ!圭吾!
ウレシィ」
しがみ付いてきた
「新 結局 こう言う事だよ」
微かに頷く矢沢がいた
富永は俯いていた
ごめんな
でも
これがきっとひとを
好きになることなんだよな
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