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第129話
優は扉の前で立ったまま
俯いている
「優?大丈夫か?」
横に首を振り
ひたすら圭吾の名前を呼びながら泣いている
だからと言って部屋を出て行くわけでもない
小さな優がそこにいる
パパパパと抱っこをせがむ
優にしか見えない
「優?パパの傍に来て欲しいな」
思わず言ってしまった
十七才の息子に向かって…
優は驚いた顔をして
「パパ?パパって言ったら駄目なんだよ ママが怒るよ」
「どうして?じゃぁなんて呼んでくれるの?」
「判らない…教えて言っても教えてくれなかった パパじゃぁないからだって」
「優はなんて呼びたかった?」
「パパだよ パパ大好だったきだもん」
「有難う パパも優が大好きだ!」
精神年齢がワードによって変わるのか?
本当に小さい優がいる
走り寄って抱き締めたい
「何で圭吾はパパと寝たらって言ったのかな?」
「えっとえっと優が気持ち悪くなるって言ったから あ、あの信也さんとパパが仲良くするの見ると
ごめんなさい でもパパがピーチ好きなの覚えていてくれて凄い嬉しかったって言ったら 寝なって」
「そっかあ ごめんな パパこそ
パパは信也さんが大好きなんだ
優が圭吾を大好きなように」
「うん判る」
「優?パパの傍に来てくれる
世界中で一番大事なのは優だけだから」
少し首を傾げながら
困った顔しているが
優はゆっくり隣に座ってくれた
「みんながパパを遠ざけてたのを良いことに俺も逃げていたんだ
パパが家に戻ってきたときちんと向き合えば良かったのに
嫌な性格丸出しだった
ごめんなさい…俺おかしかった」
大分十七才に戻ってきたかな
「パパは優が拒絶してくれているうちはパパに関心持ってくれているって思えてなんだか安心してた」
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