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第174話
矢沢と富永の自己紹介が終わると夕食になった
何となくぎこちない会話
話すってなにを話せばいいか
信也さんがコロッケを頬張り
「うん!コロッケ美味しね~優弥食べた? 美味しいから これって好弥くんお手製?」
「はい!家でもたまに作っているんです!褒めて頂けて嬉しいです お口合いましたか?」
「口に合うも何も 美味しいよ!
それに何だか大人対応だね
綺麗な言葉使いだし」
「有難うございます!祖父も一緒に住んでいるので…年寄り臭い感じしますよね」
「いやいや そう言うの大切だよ」
優弥さんがしきりに感心していると
富永は嬉しそにぺこりとお辞儀をしながら
「そう言えば出張はどこへ行かれたんですか?」
「福岡と長崎だよ そうそう明日明太子とカステラが届くから
お家にお土産持って帰ってね
好弥くん 新くんは明太子大丈夫?」
「はい!大好きです カステラも!」
「好弥は何でも大好きだからね」
矢沢が富永の頭スルッと触った
「それは良かったよ!信也がベタだから違うのにしたらってしつこかったけど
やっぱり俺が正しかった!どうだ?信也~」
「はいはい~優弥が正しかったね
偉い偉い」
そう言いながらテーブルの上に乗っていた優弥さんの手をそっと握った
俺たち三人の視線はその一点に注がれ
一瞬釘付けになってしまったが
砂川はそんな事意に介さず
少しふくれ面をしながら
「それより今日お祭り行くはずだったのにパパたちが早く帰って来たから
行けなかったんだよ!」
おい!なんだ!ガキか?
今言う事か?
ったく馬鹿ですよ砂川くん~
「えっごめんね どこのお祭り?
今日だけかな?」
優弥さんが申し訳なさそうな顔をしていると
「あっ いえ 明日もやってますから
場所はと…隣町の岩田町です
優!明日行こうよ ねっ」
富永本当ナイスだ!
俺はまだふくれている砂川のほっぺたを
両手で挟み
「またやるぞ~パチンを~いいのか?」
「いやれす~」
「圭吾たちは優をあまやかしすぎじゃないか?」
「俺たちは違いますが 圭吾がぐずぐずなんですよ~見てられないくらい
なっ好弥?」
「そうそう甘々だもんね!圭吾~」
「うっせ~仕方ないだろう…………
可愛いんだから!」
俺と砂川は顔見合わせ真っ赤になり
下を向いてしまった
「お~親の前で堂々と有難うございます
嬉しいです 父親としては」
「いいの いいの 自分たちの気持ちには素直に振る舞う 家族や信頼できる友達の前ならね 遠慮しないこと」
そう言うと信也さんは優弥さんの肩を抱き寄せ優しくキスをした
優弥さんも抵抗するどころか
身をまかせている
いやいや刺激が…
まずい反応してきた!俺だけ?!
「なっ 曝け出すのとは違って
素直に言葉なり態度なりで今の想いを恋人に伝えられたら楽しくないか?
TPOはあるけどね」
今度は優弥さんが信也さんの頰にキスをした
なんか可愛いなあ
俺はよほどスイッチが入らないと
無理かも
しか~し砂川くん来る必ず来る
ほ~ら来た
「ごちそう様でした」
の声と共に立ち上がり膝に乗って抱き付いてきた
「こら!圭吾まだ食べているよ!」
「もう~とっくに終わってます!
ね圭吾!」
はいはい~終わりました
たった今だけどね~
「はあ そうみたいです
俺も今知りました~」
矢沢が富永の頭をポンポンと叩くと
「うん 有難うっ」
なんとまあ可愛い声なんでしょうか
富永くんは!
「美味しかった ごちそう様でした
もう少ししたら腹ごなしに散歩行かない?」
信也さんの提案で
後片付けをみんなで済ませ
駅の方へプラプラ歩き出した
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