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第183話
でかい木に隠れている日除けにちょうど良いベンチも夜には恋人同士には
お誂え向きな場所となる
砂川を向かい合せに座らせて
抱き締める
汗で張り付いたTシャツの中に手を入れると
「汗で気持ち悪いでしょう?」
済まなそうに囁く
「何で?全部舐めるから」
「バ~カ これで拭いて」
砂川はハンカチを出した
「いらん 俺の掌で拭く!」
撫でた掌を舐めて見せた
その後から砂川がキスを
すると
「しょっぱい!綺麗にしてあげる」
舌を入れて口内を舐めまわす
気持ちいい!絡め合いながら
吸い合う唾液は口角から滴り落ち
砂川の体をそらせ気味にして
捲り上げて露わになった
乳首に吸い付く
「ンン~」鼻にかかる可愛い喘ぎ声
ぶるる携帯が鳴る
無視と思ったが 砂川に促され
手に取ると矢沢だった
「どうした?」
「悪い!好弥がさっきから嘔吐
と下痢で…下着汚して」
「何処にいる?噴水 判った 今行く」
砂川に事情を説明すると
すぐに優弥さんに連絡する
「パパ!好弥が食あたりみたい
嘔吐下痢 タクシー無理だから迎えに来て 後着替えとバスタオル
たくさん!噴水の所 よろしく」
噴水のベンチで富永を抱き締めている矢沢を見ると富永のもので結構汚れていた
「パパ?新も着替えが必要だから
よろしく」
「どう?」
症状は少し治まっているように見えた
熱が出ているのか
富永は震えている
俺たちが体を擦っていると
「ごめんね ごめんね 迷惑かけて 新汚したよね ごめんね汚くて」
「黙れよ 汚く無いし」
富永に優しく口づける矢沢も震えている
「新お前具合は?」
「俺は何でも無い…心配で
可哀想で」
「大丈夫だから」
俺は矢沢の背中を擦りながら
言い続けた
「来た!こっち!」
矢沢は俺が付いて諸々手伝い
富永は砂川が体を拭き汚物を処理し
信也さんと着替えさせ
一応救急車を呼んだ
付き添いは優弥さん
俺たちは信也さんと病院に向かった
診断は急性胃腸炎
風邪気味だったらしく
免疫力が低下してたところに消化のわるいもの 冷たいものいっぱい食べたため
だと医師から説明を受けた
疲れている様だから
今夜は泊まっても 点滴終わったら帰ってもどちらでも良いとのことだったので
富永の意思を尊重して
連れて帰る事にした
俺たちは矢沢を残し
一旦帰宅し
汚れ物などを始末して
ベッドにはシートを
その上にタオルケットを敷いた
バケツ新聞紙ビニール袋
スポドリ着替え
矢沢は床に布団を敷いて寝られるように
整えた
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病室で俺は富永の手を握っていた
「好弥ごめん なんも助けにならなくて
焦ってばかりで情けなかったな」
眠っている富永の髪をそっと撫でながら
話しかけていると
「新?」
富永が弱々しい声で反応した
「好弥?気がついたか!苦しいか?看護師さん呼ぶ?」
「ううん 大丈夫 それより新は大丈夫? 新に何回も嘔いたでしょ
お漏らしもした記憶あるし
恥ずかしいよ~ごめんなさい」
「ばーか だからなんだよ そんなことより俺はなんもできなくて
ごめんな 本当ごめん」
「謝らないで 自己管理できなかった
自分の責任なんだから…」
こんなに具合悪いのに
まだ甘えてこない
富永がいじらしくて
俺はその健気な唇に何度もキスを繰り返した
「好弥 好きだ 大好きだ 離さない
それが今俺の言えるすべてだよ」
「良かった…同じ気持ちだね キス…」
「そこまでー入りまーす」
砂川と俺はニヤニヤしながら
病室に入ると
「後は家でお願いいたしまさす」
看護師さんも笑いながら
点滴貼りを抜き出て行った
「いつからいたん」
俺はは思いっ切りふくれ面をして沢木を殴ってやった
「いや~今しがたですよ~」
砂川が富永を起こし上着を着せ
サンダルをはかせている
「新!好弥抱き抱える!圭吾は荷物持つ!」
かくして砂川の号令一下
夏の夜は更けていくのであった
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