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第190話
「わあ~どれも美味しそう!」
砂川は目をキラキラさせている
「優ちゃんはどれにする?」
「いえ お父さん お母さんから決めて下さい」
「良いから 良いから 優くん
先に取って 若い順だよ~」
砂川は俺の腕をそっと摑み
どうしようって顔している
キャ~可愛い~
「なんだなぁ 親父がそう言ってるし
ばばあは本当は食わない方が良いだろう?デブ予防にな」
コッン~ばばあからの鉄拳を喰らった
「じゃぁ お言葉に甘えて
チョコレートケーキ頂きます!」
「圭吾 お取り皿に取ってあげて」
「はい~ 俺はミルフィーユ」
後は親父とばばあがプリンとフルーツタルトをお互いに半分っこにしていた
地元のケーキ屋だが
なかなか美味しいと評判で
電車や車で買いに来るぐらいのお店だ
砂川は物凄気に入って
絶対家に買って帰えると興奮していた
砂川と俺はお茶の後は
夕飯まで散歩に出た
「ねぇ圭吾のご両親って凄く素敵だよね 自然体だしさ」
「そうか?まあ確かに構えないかな
物事を頭から決めつける事も
余りしないな
だから話し安いんだよ」
しきりに頷く砂川は
「家はさ あれだから 傍から見たら変だよね 仕方ないけど」
「確かに優は苦労したな 人と違うって事 誰に話して理解して貰えるかだって判んないしな そもそも判ってくれる奴いるのかって悩むよ
でも 優は悩んだ分人の心にある
不安とかを察知する力があるんだよ
それは凄いよ」
「そんな……でも圭吾に恋をして
同性同士とか意識しないで
圭吾は俺を好きになってくれた
そして
新や好弥とも親友になれた事で
前より人に関心を持てるようになったし少しは人に優しく出来るようになったかも」
「俺は気付いたら砂川優に恋してた
そこに理由なんて無いよ
ただ優にその気持ちを受け入れて
貰えるかが判らなくて怖かった
でも これは告白するときに
誰でもが思うことだ
すべての人間がね
後は やっぱり矢沢達に話したとき
これで友達無くすかもって
それでも砂川優が大好きで
その気持ちに嘘はつかないって
頑張った
自分の心がときめいた人が
砂川優だった
男とか女とかそんなこと
考えてもい無かった
今の俺は
砂川優と言う人間の一番であり続けることが大切なんだ」
砂川は俺のシャツを摑み引き寄せると
柔らなか唇をそっと重ねてくれた
ああどうしようも無いくらい好きだ
俺たちは涙が後から後から零れ落ちるのを互いに拭い合い 抱き締め合う
何もにも囚われる事などない
今この時を愛しているから
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