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第200話

口火を切ったのは富永の父親だった 「とにかく私は好弥を連れ帰る為に来ただけなので好弥帰るぞ」 立ち上がり富永に近づこうと為たのを 矢沢が富永を引き寄せ前に立った 「お願いします 無理矢理は止めて下さい 僕たちの話しを聞いて下さい」 「煩い!好弥 きなさい!」 富永は矢島の腕を摑み離れない 「情けない 男に惚れるなんて 気が知れない 家にはそんな奴いないぞ!周りに感化されてるだけだ!」 「違う!お父さんは判ってない 僕がどれだけ新を好きか 新が盲腸で入院為たとき もう少し遅かったら 死んでしまったって聞いたとき 僕がどんな気持ちになったか 新が死んでたら僕は後を追った 脅しじゃない」 富永を抱き締める矢沢は泣いている 「茶番は止めなさい」 富永の父親は怒りに震えている 矢沢の母親が立ち上がり富永の父親に一礼し話し出した 「新一の母親です この度は息子と好弥君の事で お時間頂きまして有難うございます 富永さんのお気持ち良くわかります 私たちも始めから納得 出来たわけではありません ただ新一は浮ついた子ではありません これは親として自信を持っています そしてふたりは勉強も部活も 家の事も頑張っています 先ほど周りに感化されていると仰られましたが この子たちが悩み 苦しみ 痛みを感じるているとしたら 成長していると言う事だと思いますが 夫は誰を好きになるかが問題じゃなく その相手を好きでいる自分を愛せるかが 大事だと申しておりました 私たちは大人はある時期から相手のこと 雑に扱ってしまったり 愛せなくなったり 自分を卑下してしまったり 情け無い大人に為っている…… それさえ気づかずにいるかもしれません もし今でも変わらず愛しあっている ご夫婦なり恋人同士いらしたら 子どもたちには大変参考になるのでは? 如何ですか? 富永様のお話でも結構なのですが 富永様のご夫婦のお話など聞かせて頂ければ……」  富永が被せるように 「家は駄目です 父親は母親を怒鳴り回しています 父親は外泊も多いです ねぇお父さん ここ何年もそうだよね」 「好弥!!調子に乗るなっ!」 矢沢を突き飛ばし富永に殴りかかった 砂川が間に入り代わりに殴られてしまった

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