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第203話
富永の父親は黙って
俺たちを見ていた
「連れて帰る……の一点張りで片づく問題では無いことは判っていましたが 本心を吐露為てしまえば
好弥の気持ち 矢沢くんの想い
に歩み寄りたいとは思います
ですがやはり富永家として全面的に理解したとはならないんですよ
本家として…… 」
優弥さんが
「では 富永家としてはどうする事が
最良と言えるのでしょうか
私たちも協力出来ることは
何でもしてあげたいんです
この子たちの為に」
優が俺に耳打ちをした
「暫くここで過ごすのはどう?
学校が始まっても……
圭吾と同じ感じで
砂川シェアルームとかさ」
「素案としては良いかもね」
砂川は頷くと立ち上がり
「今圭吾と話したんですが
シェアルーム的な感じでここに住んでみるのはどうでしょうか
平たく言えば下宿です
お父さんどうだろうか」
優弥さんが信也さんを呼んだ
「そうなるとパートナーの信也抜きでは話しが進まないので
同席させて頂きます」
「もし それが叶うなら
僕たち……はとてもありがたい
お話です
一緒にいたいんです
僕たち……」
富永は矢沢にしがみ付き
泣き通しだ
「好弥 泣き止みなさい
お前たちの想いは判ったから
もう引き離したりはしないから」
富永の父親は富永の頭を優しく撫でる
「お父さん有難うございます」
富永と矢沢は父親に深く頭を下げた
矢沢の母親が優弥さんに
「もし可能であれば 新一と好弥くんが落ち着いて日々を過ごせるとは思いますが 砂川さんのご負担が金銭的とかでは無く 高校生男子を面倒をみるとなると
ですので 沢木さんのお宅は
圭吾くんと御両親と幾つかのお約束をしているとお聞きしていますが」
信也さんはいつも通りに俺たちに声をかけた
「優 圭吾 お茶入れ替えるから
湯飲み等お下げして
それからお手伝いお願いしますね」
俺たちは普段通り盆に湯飲みを乗せ
信也さんの後について
キッチンに入った
圭吾の父親は信じられないとしきりに言っていたと後から矢沢たちから聞いた
家では見ない姿に感動為ていたそうだ
信也さんの動きの美しさを日々見ていて
俺たちも自然に真似していたのだろう
父親か俺と約束した内容を話すと
富永の父親と新の母親は何度も頷いていた
結果全て丸く収まってくれて良かった!
さぁ今日から長期合宿が始まる
部屋も独りにひと部屋にすることになり
俺たち四人で考えて優弥さんたちに
提案する事に為り
それぞれの親は納得して帰って行った
荷物は明日から四人で協力して
運ぶことに為った
めでたしめでたし!だよーん
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