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第二話 この愛に隔てなど無い 9
かろうじて瞼を開くことができた。だが未だ鉛のように重く、その目に映る景色がボヤボヤとぼやけて良く見えない。……そんな霞 んだ視界の中で、男の顔がこちらに近付いてくる。
トニー
「へぇ………君、本当にミイラ男なの?綺麗な肌してるね………」
トニーの手がクリスの腕に巻かれた包帯を解く。身動きが出来ない分、彼に触られる感触に身体が過敏に反応してしまう。
「この者が付けていた物です。」
トニーの手下の者がそう言って、クリスが付けていた指輪を手渡した。
トニー
「……………!!」
その指輪を見るなり顔色を変えたトニーが、クリスの口を塞いでいたロープをグっと彼の首元に降ろし、問いただした。
トニー
「お前、どこでこれを……?」
ミイラ男
「…………返せ。」
トニーからの質問を完全に無視し、彼を睨みつけた。それは大切な彼から託された恋人の証。……他の誰にも触られたくはない。
トニー
「質問に答えろ。」
ミイラ男
「………うっせぇ………早く返せ。」
スパーンっ……!!クリスの頬を思い切り叩いたトニーが彼の顎を掴み、蔑 んだ目でクリスを見下ろした。
トニー
「………調子に乗るな、殺すぞ………。」
叩かれた後でも、クリスの反抗する目は変わらない。囚われているいという立場を分からずに生意気な態度を取るクリスに、少ししつけをすることにした。「……大人をからかっちゃいけないよ。」まるで愛しているとでも言っているかのように優しく甘く、そう囁くトニーがクリスの首を絞め上げる。飲み込んだ唾が狭められた食道を通りゴクン……と大きな音を立てる。
思い切り殴ってしまえば早いが、この美しい顔を台無しにするのは気が引ける。それ以外の方法でこの男の子を痛めつけるには……どんなやり方がベストだろう?トニーからの尋問に相変わらず生意気な態度で返事をするクリス。
ミイラ男
「バーーカ、誰がてめぇなんかに教えるかよクソ野郎が。」
部屋に居る手下全員に外に出るように伝えると、クリスの体を反転させその頭を強引に壁に押し付けた。
ミイラ男
「………いっ………!」
トニー
「男に掘られるのは初めてか?」
ミイラ男
「………今の所はね。」
トニー
「あの指輪はねぇ………滅多にお目に掛かれる物じゃないんだよ。」
ミイラ男
「…………?」
トニー
「久しぶりに見たな………ちょっとビビっちまったじゃん。君、知り合いにヴァンパイアがいるの?」
ミイラ男
「………知るか。」
クリスの履いている半ズボンの中に滑り込むトニーの手……その指がクリスの体内へと続く入り口を優しく撫でる……。心を埋め尽くす羞恥心と嫌悪感に負けたくないと歯を食いしばるクリス。そんな彼の可愛らしい我慢顔に尚更興奮する。引き締まったその入り口を無理矢理こじ開けてしまうのも良いが、少しずつ時間をかけてほぐしていくのも悪くはない。甘噛みをしていたトニーの歯が、クリスの耳の軟骨を挟むとカリっ!と噛んだ……鋭いその痛みと同時に彼の指がクリスの入り口にグっと押し込まれる。
クリス
「っ…………!!」
ジンジンと耳に広がる鈍い痛みは、その傷口を舐められると少し和らいだ。くすぐったくてその舌を拒むが、舐められていた方が痛みが麻痺することが分かった。今この体内に出入りしているその指は、ジョシュアの指……。この耳を舐め回すその舌は、ジョシュアの舌……。彼の声を思い出す、そっと優しく「クリス」と名前を呼んで……「愛してる」と囁いて……。
トニー
「このまま抱いちまおうかな。」
耳元で囁くその声が……ジョシュアのものだったら。首筋に優しくキスをするジョシュアの唇を思い出す……彼の匂いを、息遣いを。
ミイラ男
「ジョシュ………。」
トニー
「……………?」
………この瞬間が終わって、もし俺がまだ生きてたら………
………その時は俺を抱いてよ、ジョシュ………。
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