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第三話 真実への褒美、欺きへの天罰 5
ダニエル
「そんな話……信じられるか!」
ネス
「これだけの数のケルスのメンバーを相手に偽りなど通用しないことは、君にも良く分かっているだろう?」
ダニエル
「なら檻の中でのあれは何だ?アレンに話し掛けた時のルドルフはアレンを殺る気だった。奴はあのシチュエーションを楽しんでいた……俺はハッキリとこの目で見て、この耳で聞いたんだ。」
とても理解し難い話にこちらは感情を隠せずに居るというのに、ケルス達は至って普通に対話をしている。……ドーナやグリフィンまでもだ。
ドーナ
「お主、まさか知らなかったのか?」
ダニエル
「……何がだ?」
グリフィン
「ルドルフは………多重人格者だ。」
ミイラ男
「……そ、そうなんだ!」
以前、彼は父親は探偵をしていると言っていたのをクリスは覚えていた。出会ったばかりで実家が殺し屋だなどと言えばこちらが怯えて去って行くことを懸念してのことだったのだろう。クリスにも何となくその辺りの事情は察することが出来た。
ドラキュラ
「……引いた?」
緊張しながらクリスの反応を見るジョシュア。
ミイラ男
「別に引きはしないよ、ちょっと驚いたけど。」
ザック
「俺達はもう行く、ジョシュ、クリス……それとウェア、世話になったな。」
ドラキュラ
「いや、一緒に行こう。」
一緒に行く……?そんなジョシュアの唐突な提案に、皆が驚いた。
ダフィー
「……どうやって?」
ドラキュラ
「大きめな馬車があるんだ、きっとみんな乗れるよ。それならチビ達も疲れないだろうし。」
狼男
「でも俺達の目的地は……」
ドラキュラ
「予定を変更する。そもそもリーパーが俺に頼んだのはリリのお守りだ、リリを見失った事をリーパーに伝えに行ったところで何になる?取り敢えずまずは俺の実家に帰る。はぁ……気が重いよ……。」
ミイラ男
「会いたくない奴でも居んの?」
ドラキュラ
「全員。」
ミイラ男
「やば……(笑)」
その時、ザックの母がザックの前に来てそっと彼を抱きしめた。
「ここでお別れだ。」
ザック
「………!」
「大きくなったな……あの時私を見つめていたお前のつぶらな瞳を今でも思い出す。ザックよ、しっかりと守ってやれ。お前にならできる。そして忘れるな………お前は私の大切な息子だ。」
きっとこれが最後になるであろう。もう二度と会うことは無いと、互いに理解している。久しぶりにこの両腕に包んだ母親の肩は、以前よりも少し小さくなった気がする。母の肩にのせられたザックの鼻が最後に彼女の匂いを深く吸い込んだ。「愛している。」そう言った母の目頭に涙が光った。
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