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第三話 真実への褒美、欺きへの天罰 10

ネス 「ふむ……つまり、ウィリアムの蘇生には死神の、アレンの蘇生には魔女の身体の一部が必要な訳だね。」 ルドルフ 「左様。」 ドーナ 「ウィリアムの方ならばどうにかなりそうだが………」 グリフィン 「問題は魔女の方だな。」 バーロン 「仕方のない事だ、その姉とやらがそやつの一部を差し出すしかなかろう。」  淡々と話を進めていくケルス。生き甲斐であった妹を失ったリリに、その上今度は足を切り落とせと?彼女はどれ程に失わねばないらないのか……こんな事は間違っている。理不尽にも程があるのだ。 ダニエル 「……んな事させられるか!!」 バーロン 「では他に考えがあるのか、小僧?」 ダニエル 「………。」 ネス 「ソルの牢獄に魔女の囚人が何人か居た気もするが……それはさすがに非道だからね。やはりこの件は身内の中で解決すべきだろう。」 ドーナ 「私も同感だ。ダニエル、お前には悪いが……こればかりはお前の女子自身に選ばせる他にないのだよ。」  できる事ならばその女子の代わりに自らの足を差し出してやりたいが、自分は魔女ではない。してやれる事にも限りがある……ドーナは小さくため息をついた。 グリフィン 「その術の成功率、共に身体の一部を提供した者の生存率は?」 ルドルフ 「ほぼ間違いなく成功するであろう。腕や足の一本だけで充分だ……命に係わるものではない。」 ダニエル 「……あいつに話してみる。ウィルの蘇生には、俺が提供する。」 ドーナ 「…………。」  「俺が提供する」すなわちダニエル(我が子)がその足を切り落とす、そういう意味だ。その言葉を聞いたドーナがダニエルから顔を背けた。グリフィンはやり切れない気持ちでそんな彼女を見つめる。ダニエルとてもう子供ではない、それ程までして守りたい何かがあるのだ……それを男として、彼は守り抜きたいのだ。自分も一人の男としてその志は充分に理解できる。ここは代行してやるのではなく、しっかりと見守っていてやるべきなのだろう。「我が代わりに」グリフィンはその言葉をそっと胸にしまった。 肘を付きながら話を聞いていたネスが座り直し、足を組んだ。そして改まったようにその膝の上に重ねた手を置くと、こちらを見てこう言った。 ネス 「ダニー、君には知っておいてもらいたい事がある。」

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