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第四話 思い出の蓋を開けて 2

 ちらちらとジョシュアの顔を見てはその様子を伺う。顔色は良く、ケラケラと他の二人と話している様は普段の彼だ。あまり血を飲まないせいできっと慣れていなかっただけなのだろう。彼がいつも通りに過ごしている以上、こちらが深く考えすぎるべきではない。クリスはほっと胸を撫でおろし小さく深呼吸をした。 馬車に着くともうすでに起床して走り回っていた子狐達がジョシュア達を迎えた。 ララ 「クリスー!遊ぼー!!」  クリスの周りで元気よく飛び跳ねるララがクリスの背中に飛び乗る。そんな彼女をそのまま背負っておんぶをするクリスの背中で「きゃっ…!!」と叫ぶララ。後ろに立つリーパーを目の前にして固まっている。 ララ 「誰この人………真っ黒!!」 ドラキュラ 「あんまり目を合わしちゃダメだからね~、君たちの心まで真っ黒になっちゃうから!」  全身黒ずくめの恰好をしているリーパーに子狐達が怯えてしまうのではないかと内心ハラハラしていたクリスだったが、意外にも子供達は興味津々にリーパーを見つめている。ポポはリーパーのローブをくいくいと引っ張り、ココは彼の黒い瞳を物珍しそうにまじまじと観察してる。 ドラキュラ 「まるで展示会だな。」 死神 「死神さんですよ~、お兄ちゃんの特技はね………かくれんぼ。」 狼男 「もう絶対勝てねぇじゃん……」 ララ 「かくれんぼするー!!」  テンションの上がり切ったララは、嬉しそうにクリスの背中の上でバタバタと足をばたつかせている。 死神 「いいよ、じゃあ俺は隠れるから10秒経ったら探してね。」 ミイラ男 「いやいやいや手加減しろよ(笑)リーパーが隠れるのは反則だろ。」  「よっこらしょ。」とララを地上に降ろすクリスの隣でジョシュアが「よし。」と謎の掛け声をかける。……意外に彼も子供が好きなのだろうか?立ち上がったクリスは不思議そうにジョシュアを見る。 ドラキュラ 「じゃあ俺が鬼になるわ。」  無論、そう言ったジョシュアが目を赤くした。 ミイラ男、狼男、死神 「それが一番反則だわ!!!」  揺れる馬車の中で、朝から走り回って疲れてしまった子狐達はスヤスヤと眠ってしまった。リーパーにザック達のことやモルナードで起きた事の一部始終を伝え、リーパーからはケルスとの会議の内容を大まかに説明された。 死神 「術を使えなくなるのは惜しい、だから俺は片足を捧げるつもりだ。」  残酷な話の内容にダフィーが耳を塞ぐ。そんな彼女を抱きしめるザックがこう問いかけた。 ザック 「魔女にだって手が必要だろう?」 死神 「あぁ、だからきっとあいつも……。」 狼男 「他に方法は無いの?いくらリリが魔女だからって、あの子だって女の子じゃん……そんな酷い事……」 ミイラ男 「リリは迷わずに足を切り落とすよ。あいつはそういう所、すげぇかっこいい女なんだ。」  クリスはこの中で一番彼女のことを知っている……昔に付き合っていたダニエルよりも。その事実が少しだけダニエルの心をきつくする。 狼男 「……それでリーパー、お前が行きたい所ってのは……?」 死神 「もう少し先だ。」

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