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第四話 思い出の蓋を開けて 9

 ジョシュアがこの首を噛んだ直後に咳き込んで吐血したあの出来事が一体何だったのか……リーパーなら何か知っているかもしれない。クリスが話を続けようとした時、タイミング悪く家の中からジョシュアとウェアが出てきた。相変わらず話の続きを待っているリーパーに「やっぱり、何でもない」と言って話を打ち切ったのだった。 ドラキュラ 「特に収獲は無しだな。妙なパズルみたいなのがあったけど……髪の毛とかじゃダメなの?蘇生に使うのって。」 死神 「頭丸ごとならまだしも、髪の毛二、三本じゃ無理だろうな。パズルか……あの木箱に入ったやつだろ?」  クリスの背後に座りながらその問いに「うん」と返事をするジョシュアが「大丈夫か?」とクリスの体調を心配する。「大丈夫だよ。」そう言ったクリスは肩に巻かれたジョシュアの腕を交差した両腕でしっかりと包み込んだ。そんな二人はまるで動物の親子のように仲良く互いの温もりを与えあっている。……何とも微笑ましい光景だ、隣に座るウェアが暖かい目で二人を見守る。 死神 「ウィルから死ぬ前に、これだけは残しておいて下さいって言われたっけな……引き出しに入ってたろ?」 ミイラ男 「ごめん……勝手に開けちゃった。」 死神 「別に構いはしねぇよ。あいつ何か名前で呼んでたな……そのパズルを。」  そういえば、と顎を抑えて考え込むリーパーはどうしてもその名前を思い出したいみたいだ。 狼男 「名前?パズルの題名とか、タイトルみたいな?」 死神 「うん……何だっけな。月の……なんちゃらって言ってた気がする。」 ドラキュラ 「月?」 狼男 「……あ、月と言えばもうすぐ満月だね、狼男の出番だよ!」 ミイラ男 「やっぱり狼男って満月の夜に変身するの?……気になる!」  狼男といえば「満月の夜」というのは欠かせないキーワード。身体が大きくなるのだろうか?もしや全身が毛に覆われるのかもしれない……牙が今よりも更に長く伸び、目の色が怪しいオレンジ色に変わる展開も中々面白いものだ。夢見る子供のようにキラキラと瞳を輝かせてこちらを見つめるクリスに「うーん……」と決まりが悪そうにポリポリと首を掻いて答えた。 狼男 「ん~それがね、特に何も変わりはしないんだよね。期待させちゃって申し訳ないんだけど……」 ミイラ男 「え、そうなの?満月の月明かりに照らされて凶暴になるんじゃないの?」  「爪がこんなに伸びてさ……!」と自分の抱く満月の夜の狼男のイメージを何とか伝えようとするクリスの後ろで呆れたようにジョシュアが言った。 ドラキュラ 「……そんな面倒くさい体質だったらもうとっくに友達やめてるわ。」 狼男 「………(怒)」 死神 「あ……それだ!!」  何かを思い出したようにハっとした表情でそう言ったリーパー。三人が話をやめ、そんな彼に注目をした。 死神 「月明かりのパズル………あいつ、あのパズルをそう呼んでた。」

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