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第五話 誇れるものばかりではないさ、それでもいい 4

 子狐達を寝かしつけながら自分も眠りに落ちてしまったダフィーに毛布を掛け、ウェアの隣に座ったザック。肉食獣同士気が合うらしい、二人は狩りの仕方や肉料理の旨い店など話題が尽きずに語り合っている。向かいに座るジョシュアがふとザックに話し掛けた。 ドラキュラ 「食いたくなんないの?腹減ってる時。」 ザック 「………ダフィー達をか?」  「うん」と答えたジョシュアを「まさか」と笑った。 ザック 「腹が減ったら狩りに行く、ついでに子供たちの分も取って来てやるんだ。食いたくはならねぇな。散歩する時にさ、いつも先頭を歩くダフィーの後ろに子供達がついて行って、そんで最後に俺が後ろからさ、子供達がはぐれちまわない様にって見守っててやるんだけど……まぁどっからどう見ても俺が獲物を狙って後をつけ回してる様にしか見えない訳よ。」  母と愉快に森を散歩する子狐達の後ろをつけ回す一頭の肉食獣……。その場面を想像したウェアは可笑しくなって噴き出してしまった。 狼男 「だろうね(笑)」 ドラキュラ 「でも狐ファミリーからしたらさ、あんたほど心強い用心棒は他に見つからないだろうね。いいパパじゃん。」 ザック 「どうかね、やっぱり種が違うのは少なからず重荷になるんじゃないのかって心配だよ。今はまだ小さいが、その内大きくなれば不満も出てくるだろう。父親のことを聞かれたもんなら……俺は何て説明したらいいのか分かんねぇよ。」  皆何かしら悩みを抱えていて、相手を大切に想うのに事が上手くいかなくなったり、やるべきことに集中できなくなったり、ただ好きという気持ちだけでは一緒に居られなかったり。守りたいものがあるのは確かなのに、一体何から守っていけばいいのかさえも分からなくなったり。そんな思いは動物も、怪物も、獣人も……そして人間もきっと同じ。生きるとは簡単なようで複雑なものだ。 ドラキュラ 「あ、せっかくモルナードに居たのにコーヒー買うの忘れた。」 狼男 「もう俺なんかコーヒー一生分飲んだ気分だよ。」 ドラキュラ 「トニーか……俺はあんまり組織の事は詳しくないからな。」 狼男 「兄ちゃんはどっかのマフィアのお偉いさんなの?」  はぁ……と小さく溜め息をつき肩をすくめたジョシュアはまるで、その者を思い出す事自体気が進まないようだ。そんな彼は眠っているクリスの前髪を優しく梳かしながら話し出した。 ドラキュラ 「ダンテのトップだよ、大昔に親父の組織を抜けて独立したんだ。創立当初の初期メンバーは五人いて、全員がヴァンパイアだ。兄貴のライアン、それと友人のショーン、メッド、パイク、ヴィックス。全員とんでもない超能力の持ち主だ。」 ザック 「それから段々と組織が拡大するにつれライアン以外の初期メンバーが枝分かれをし、各々がトップとして新しい組織を作った。トニーが今居るババロンはヴィックスが率いる組織だ。」 狼男 「なるほどね。だからザックのお母さんがトニーは昔ダンテに居たって言ってたのか!」 ドラキュラ 「そゆこと。」

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