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第六話 その瞬間まであと一歩 6
ザック
「ジョシュのどこが好き?」
ミイラ男
「………え??」
子狐達と遊び疲れ「ふぅ……」とダフィーの隣に腰を降ろし一休みするクリスに向けられた、ザックからのそんな質問。何だか急に照れくさくなり、「えーと……」と頬を掻いた。
初めは興味本位で付き合っていただけだった。どうせ互いに「何か違う」と目が覚める日が来るだろうと……。いつも面白い事を言って友人をからかって笑っているジョシュア。そんな彼の心の中を少しだけ自分にさらけ出してくれたあの夜……一見頑丈そうに見えても本当は儚いその心を “守りたい” と思った。
ミイラ男
「どこって言われると困っちゃうかな……。まさか男を好きになるとは思わなかったし、今でも分からなくなる時があるよ。」
自信が無さそうにボソボソと喋るクリスの様子からして、彼もきっとまだ迷っている点があるのだろう。……それは狐とレオパードなのにも関わらず恋に落ちた自分達もまた同じ。ダフィーとザックが互いの手を重ね、微笑み合った。
ダフィー
「お互いを想っている今を大切にできるなら、それでいいのよ。」
ミイラ男
「………?」
ダフィー
「いつまでも一緒に居られるわけではないから。どんな形にしろ、生きている私達には別れの時が必ず来るわ。だからせめて、その時まで……彼を大切にできればそれでいい。」
自らが愛する者を想う気持ちが正しいのか、間違っているのか……もしかすればそればかりに重点を置いて考えていたのかもしれない。彼に抱きしめられる度に「やっぱりここに居たい」と再確認しては、一人になる度に「このままでいいのか」と悩む……その繰り返しの中でただ生きていた。共に生きるとは、ただ口付けを交わし甘い時間だけを共有するのではなく、これからの未来に対しての不安な気持ちや相手を疑ってしまう気持ちさへもを共有できる間柄なのではないだろうか?
愛してると言われ、自分もその言葉を返す。………もうそろそろこの辺りで、その言葉の中身を探してみよう。
ミイラ男
「俺………。」
立ち上がったクリスの表情から曇りが消えた。泉の水面に反射した木漏れ日の光が、振り返った彼の瞳をより一層輝かせる。
ミイラ男
「ジョシュアが好きだ。」
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