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第六話 その瞬間まであと一歩 14
グリフィン
「今、目を向けるべき最優先事項は内通者の拘束。もしその者がサランドの者である場合、それはこちらにとって有益な道具になり得る。尋問に掛け、あちら側の国の情勢を知るためにも生け捕りにすることを強く望む。」
ドーナ
「モズとゴーダにその身を隠している以上、捜索のためにその二つの部隊を使う事は避けるべきだ。」
「だがこの案件はアリスでは手に余るであろう……我々は他にもやらねばならぬ事がある。比較的戦闘能力の高く、同じて我々死神界と中立関係にある他種族を何とか同盟関係へと持ち込みたい。国の規模が小さすぎる故に各々では立ち向かうことのできぬ国とも、その国の救済を含め同盟を結ぶつもりだ。異論はあるか?」
グリフィン
「悪くは無い提案だ。内通者確保の件についてはわしとドーナ、リー、願わくばネスにも手を借り、内密に解決するとしよう。……セルリオ、そなたはしばらくの間ネスと行動を共にせよ。ドーナ……お主はわしとだ。他の者も、内通者が捕まるまでは出来る限り単独行動を慎む事。我々ケルスの暗殺か、こちらの情勢を把握するためか……奴らスパイの目的が未だ不明な内は必要以上に警戒すべきである。レイクをセルリオの担当から外した今、奴らはこちらの動きに気付くはず。事がバレる前に目標 を始末しようとする事は十分に考えられる。」
「承知した。」
セルリオ
「ネスは単独が好きだから、ついて歩くのには骨が折れるだろうね。」
ドーナ
「ふふふ………。ならば首輪と縄でもつけておけば良い。」
そんな一風変わったアドバイスをするドーナを見つめるグリフィンが「やれやれ……」と呆れて視界を上にした。
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