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第一話 その子の名は、ダニエル 6
神堂に集まったケルス達が、中央に立ちテーブルの上に地図を広げるドーナに注目する。
ドーナ
「………近い内に戦が起こる。」
ネス
「もう少し先になるだろうと思っていたが……。」
グリフィン
「そうも言ってられまい、冷戦協定を結んでからもう2000年は経つ。その間に人口が大幅に増えた種族は新しい資源と領地を確保するためもうすでに各地で抗争を始めている。」
「して、ドーナよ………お主が便りを送ったという例のミイラの長は、何を予言したというのだ?」
ドーナ
「先日テクトから届いた便りによると、今やエルフの森が壊滅の危機にさらされているという。各地で流行っている謎の伝染病に怯えた種族や、すでにそれによって絶滅しかけている種族が彼らの血を喉から手が出るほど欲しているのだそうだ。」
ルドルフ
「ふふふ………あの種族の血を欲しがらぬ者などこの世界にはおらぬ。延命の血、永遠の命……聞いただけでよだれが垂れ落ちてしまいそうだ……だがわしはあの者達に近寄りたくはないのう。」
ネス
「……出来ることなら僕もご免かな。だって……魂を吸い取られちゃうからね。」
ルドルフ
「ふふふ……真に心清き者には永遠の命を、欺く者には絶望を……我々死神が試すには、ちとリスクが大きすぎるのう……あぁ、面白いのう……エルフの民は実に興味深いのう……その身体を切り開いて中身を見てみたいものだ、ふふふ……」
「幸いここ死神界は豊富な資源も住みやすい環境も無い辺境の地。我々がそこまで警戒すべき事態でもなかろう。」
ネス
「いや、そうも言い切れまい。」
ドーナ
「私もネスに同感だ。我々があの化け物を匿っている事は一部の者達に知れている。あやつを上手く使いこなす事ができればその種族はこの食物連鎖の頂点に立つ事も不可能では無かろう。」
ネス
「ルドルフ、君の研究は進んでいるのかい?」
ルドルフ
「どうしても手に入れねばならん物がある………それが無い以上、今の時点では手詰まりだ。」
ネス
「ふむ…………。」
考え込むネスをさて置き、権力と武力が高くて知られている各種族のマークが彫り込まれた駒をドーナが地図の上に置いていく。
ドーナ
「推定されるだけでも13種族、念を押して15から20の種族が勝ち残り勢力を広めていくであろうと考えている。」
グリフィン
「その中で例のあやつの存在を知っている種族はいくつあると考える?」
その質問を受けたドーナが、数ある駒のうち3つを掴み、地図の真ん中に並べて置いた。
ドーナ
「ベイリー湖に王国を構えるサランド、謎多き砂漠の都ミシャーラ………そしてあの森に住まうエルフの民、モーリス。少なくともこの3種族は奴の存在を把握しているであろう。」
ネス
「ミシャーラか……確かモズの中の一人がそこの出身だったね。彼の名前は何と言ったかな……。」
グリフィン
「それはおかしな話だ。死神界では原則、他種族もしくは混血の者は組織には入れないはずだ。思い違いではないのか?」
ネス
「ふむ………そちらの方も調べてみる必要があるみたいだね。しばらくは忙しくなりそうだ。」
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