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 しばらくの間、ルカの陰茎の先端に舌で刺激を加えたが、私の口に含まれている百合の蕾は咲こうとする気配を見せない。  私の髪をつかんでいたルカの手に、今までとは別の方向への力がかかる。その手に導かれ顔を上げると、ルカが下を向いていた。目と目が合わさる。そこで私の心臓が目に見えぬ力で握られるのを感じた。  下から仰ぎ見るルカの姿は、夜明け前の薄光を背負うかのように、輪郭を煌めかせていた。しかしその無感情な瞳は、神に背き、神の国を出て、自らの力のみで歩き出し、神に抗うことによってしか得ることができない、孤高の美しさにも見える。  彼の目に、私はどう映っているのだろう。生物的意義に反する性的欲求を満たすために訪れた愚かな人間か、それとも、救いを求めにやってきた哀れな子羊か。    頭に乗せられていた彼の手が、ゆっくりと降りてくる。そしてその細い指先が、私の唇に触れた。しばらくそれをなぞり、やがて私の頬に手を添えると、再び私を彼の下腹部へと導く。  視線を戻すと、あれほど開花を拒んでいるように思えたルカの蕾が、硬く、大きく立っていた。しかし、その花弁は内包する雌蕊(めしべ)を見せることを硬く拒んでいるかのように、先端の大半を覆ったままだ。 「剥いて」  少年とも少女ともつかぬ声が私の心に響いた。その声に導かれ、閉ざされたままの百合の花弁に両手を添え、ゆっくりと下していく。  しかし、雌蕊の先端が顔をのぞかせたところで、花弁はそれ以上開くのを拒否した。 「いいから、剥いて」  ルカの言葉が、頭上で響く。その言葉に、私は手に込めていた力を強めた。まだ開く時期でないはずの花弁を無理やりはがすような、罪と背徳の入り混じった感触が私の手に伝わる。  そこでルカが、苦悶とも快感ともつかない声を漏らした。  蕾の先端部分に、紫に色づいた雌蕊のような亀頭が姿を現す。私の唾液で、雨に濡れたように細かい光を帯びていた。 「舐めて」  ルカの言葉は、抗うことのできない、いや、抗ってはいけないもののように聞こえた。顔を出した雌蕊の先端に口を近づけると、仄かに甘い匂いが鼻をくすぐる。それを口に含むと、先ほどとは違う味が舌に広がり、私はそこに生を感じた。  包皮を手で押さえたまま、舌を這わせ続ける。口全体で包み込むように咥え、頭を前後に振ると、ルカが私の髪をつかみ、苦悶の声を上げ始めた。  私が動いているのか、それともルカが動いているのか。動きと動きが混じり合う中、ルカの口から荒い吐息が吐き出され、陰茎が僅かに膨張する。次の瞬間、私の口の中に、蕾の中に溜っていた粘性の高い蜜が放たれた。  それが二度、三度。ルカが私の髪の毛を荒っぽく掴み、そして私の顔を彼の下腹部から引きはがした。  口の中の液体のやり場に困り、ルカを見上げる。 「飲んで」  ルカはそう私に命じた。その言葉に、私の心の中で再び躊躇いが生じる。本来、女性の子宮へと放たれ、卵子の許へと泳ぎ、それと接合すべき存在が、私の口腔で死を遂げようとしているのだ。  そこにどのような意味があるのだろうか。生物的に何の意味もない行為。いや、私の消化管の中で分解され、栄養として取り込まれるという点においては、意味があるのかもしれない。しかし、本来それが持つ生殖的意義、すなわち人間と言う種の繁栄に寄与するべき宿命を放棄し、本来持つはずの意味を無意味にするこの行為は、神の存在を認めていない私にすら、神の意思に背く行為のように思われた。  それはまさに、反自然的行為だった。ルカは私にそれを強要している。私は、ルカの目を見つめながら、口内へと出された彼の精液を、音を立てて飲み込んだ。 「お兄さんも、穢れたね」  ルカの指が、再び私の唇を撫でる。私の魂が、歓喜に打ち震えた。

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