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第25話

 肌と肌が直接触れ合うと熱が生まれることを、俊は初めて知った。  優しく啄ばむようなキスから舌と舌が絡まる濃厚なキスまで何度も繰り返し、されるがままに衣服を取り去られ抱き取られた俊の体は、先ほどまで冷え切っていたのが嘘のように熱くほてっていた。 「い、いや……」 「隠すなよ……ちゃんと見せてくれ。ずっと、見たかったんだ」  生まれたままの姿を晒すことを恥じらい、身を縮めようとする俊の体を、和人はいつもとは別人のような甘い声で宥め開かせる。消してくれと頼んだのに聞き入れられなかったベッドサイドライトの淡い明りに、生白い自分の体が浮かび上がっていると思うと、羞恥でいても立ってもいられない。  健康的に日焼けした和人の、理系のわりにはしっかりと筋肉のついた男らしい肉体と比べると痩せて貧弱な肢体に、興をそがれないかと心配になる。 「やだ……み、見ないで……」 「どうして。真っ白くて滑らかで、すごく綺麗だ。こうやって、触れてみたかった……」  囁きながら、繊細な指は俊の体の部品のすべての形を確認するように撫でていく。俊が反応し身を震わせるところを敏感に捉え、繰り返し触れては刺激する愛撫は巧みだ。  和人がこれまで誰かと体験したことがあるのかどうか、急に気になり出した。24歳の健康な男なら当然経験済みなのだろう。現に和人は村八分に遭いながらも、一部の好奇心旺盛な年上の女性達にこっそり秋波を送られていたことを、俊も知っている。 「上月君……上月君……」  生まれて始めて知る嫉妬と独占欲にかられ、俊は名前を呼びながら両手を和人の背に回してしがみつく。これまで誰が和人に触れたかなんて知りたくないけれど、その誰かより自分の方がいいと言って欲しかった。 「僕のこと、本当に好き?」  我ながらおかしくなったのかと思うくらい甘ったれた声が出てしまい、自分でもあわてる。それでも昂ぶった感情は止まらない。 「好きだよ。俊が誰よりも大好きだ。どうにかなりそうなくらい愛してる」  惜しげもなく繰り返されるストレートな告白に胸が震え、嬉しくて泣きそうになる。 「僕も……ぁ……っ」  返そうとした言葉は、突き上げる快感に押し流される。和人の指が昂ぶった花芯に絡みつき、先端を弄り始めたのだ。 そこはもう触れられる前から、固くなり形を変えていたはずだ。 「俊……もうこんなに濡らしてる」 「や……やだ……いやだ……」  恥ずかしさのあまり両手で顔を覆った。  いつもはどちらかというとおとなしくとりすました感じに見られる自分が、こんな淫乱な面を見せて引かれないだろうかと不安になる。それでも好きな人の手で直接触れられる快感は想像以上で、まともな理性など見事に飛んでいく。  もっと深く触れて、知らなかった自分をとことん引きずり出してほしいと、そんなことまで思ってしまう。 「おまえ、可愛いすぎるぞ」  余裕のない響きを含んだ和人のつぶやきが耳に届き、俊の体をさらに熱くする。  唇から鎖骨へと口付けていた唇が胸に届き突起を挟んだ瞬間、電撃のような快感が走り、俊は堪え切れずに甘い声を上げた。男でもそんなところが感じるなんて、全然知らなかった。 「や、ぁっ……こうづき、くん、駄目……」 「いかせたい。いけよ」  和人の手が花芯を扱くピッチが上がり、敏感になり尖った胸の突起は交互に吸い上げられる。  俊は全身を震わせてあえなく遂情した。どうにかなってしまうのではないかと思うほどの深い快感だった。

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