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第10話

 1ー10 ダメだ!  ギャン泣き始めた奥様に俺は、おろおろしていた。  女に泣かれるのは弱い。  たとえ、それが奥様であろうとも。  そのとき、勇者が口を開いた。  「いや、アカネ殿は、かわいいと思うっすよ。俺は、アカネ殿を婚約破棄したハツは、変だと思うっす」  「・・そう思う?」  奥様が泣き止んだ。勇者は、さらに付け加えた。  「マジっすよ。俺ならルルゥよりアカネ殿を選ぶかもしれないっす」  「だよね!」  なんか知らんが、盛り上がっている奥様と勇者を尻目に俺は、家路を急ぐのだった。     家につく頃には、もうすっかり辺りは暗くなっていた。  馬車を片付けていると、奥様が俺に言い放った。  「いい?ティル」  「はい、奥様」  「明日の朝には、出発できるように準備を頼むわ。よろしく!」  「どちらへ行かれるんですか?奥様」  俺が訊ねると、奥様は、にっと笑った。  「もちろんハツと泥棒猫の聖女を追うのよ!捕まえて、アメリカ兵がベトナムでもみなかったような悪夢を見せてやるのよ!」  はい?  俺は、キョトンだった。  なんのこと?  奥様は、ゴホンと咳払いをした。  「要するに、取っ捕まえて地獄を見せてやるってことよ。だから、準備をよろしくね、テイル」  そう言い残すと奥様は、いつものあの銀色の板を持って部屋に勇者と一緒に閉じ籠った。  俺は、なんかわからなかたけど、背筋に冷たいものが走っていた。  なんか、怖い!  今、あの人に逆らったら俺も悪夢を見せられそうだな!  俺は、大人しく奥様の言う通りに旅の準備を整えた。  そして。  屋敷に俺が与えられている使用人の部屋へともどる頃には、もう、夜中になっていた。  奥様と勇者は、どうやらまだ悪事の企みの相談をしているようだったが、俺は、もう、くたくただった。  部屋へと戻った俺は、ベッドへと倒れ込んだ。  うん。  俺は、眠気の中で考えていた。  奥様は、勇者と旅に出るわけだ。  なら、これで、俺の役目は終わりかも。  「やっと、自由になれる・・」  俺は、呟いてから、ベッドの上に体を起こして頭を振った。  ダメだ!  あんな危険な生き物を野に放つなんてこと出来ない!  ギルドから派遣されたお目付け役としては同行して監視を続けなくては!  

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