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第17話
2ー3 勇者は、ロリコン
意外と無口なアニタス様は、じっと炎を見詰めていたがやがて口を開いた。
「あんたは、そこのフィオルと恋仲だとか」
「いや、その情報は、間違っています」
俺は、はっきりくっきりと否定した。
「俺は、完全なる独り者ですから」
「そうなんすか?」
アニタス様は、ちらっと俺たちの方を見た。
「でも、いいっすよね。セフレとかいて」
そんなもん、いねぇし!
俺は、世間知らずの勇者を無言でやり過ごすことにしたが、アニタス様は、かまわず続けた。
「実は、自分、ルルゥに逃げられてちょっとホッとしてるとこがあったんす」
はい?
俺は、語りだしたアニタス様の言葉に耳を傾けた。
アニタス様は、17才の時に勇者の信託を受けられた。
そして、王都にある王立の魔法学校に入学させられたのだという。
「村には、自分の親や兄弟もいたんすよ。貧しい村でね」
ある時、勇者の幼馴染みの少女が姿を消したのだという。
「売られたんっすよ。生活のために町の娼館に」
その少女は、アニタス様に手紙を書き残したのだという。
『あなたも男だから女を買いに来るかもしれない。あたしは、あなたに会うかもしれないと思うと、それだけが恐ろしい』
そのためにアニタス様は、25才になる今まで一度も娼婦を買ったことがないのだという。
最初、俺は、自慢かと思ったんだが、そうではなかった。
勇者は、はっきりと告げた。
「自分、男も女も経験ないんすよ」
マジですか?
俺は、その勇者の告白に驚きを隠せなかった。
こんなイケメンで勇者をやってて、性格もそんなに悪くないのに、童貞?
その衝撃の告白に、俺は、動揺していた。
なんでこんな重い話を俺に?
そう俺が思っているとアニタス様は、続けられた。
「自分、恋愛なんてしたことなかったんすよ。17でいきなり訳わかんねぇ学校に入れられて、勉強についてくだけで必死で、20才で学園を卒業するまで彼女なんて作るどころじゃなかったんすよ」
20才の時に、学園の卒業式に姿を見せたルルゥ様を初めて見たアニタス様は、そこで恋に落ちた。
「なんか、すげぇ衝撃だったんす。もう、こん棒で殴られたみたいなすげぇ衝撃で」
ルルゥ様は、この時、まだ10才。
なかなかのロリコンだな。
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