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第30話
3ー2 献身
そう思いつつ土魔法を行使してぼこぼこになった庭をならしたりしていたんだが、俺は、急にめまいを覚えてよろめいた。
倒れそうになった俺をテオとキュウが素早く支えてくれる。
「大丈夫か?ティル」
テオが俺を支えたまま額にそっと触れた。
「なんか熱っぽいぞ」
「大丈夫だ」
「きゅう!」
キュウも俺を心配そうに見上げている。
俺は、二匹に向かって笑顔を向けた。
「お前たち、過保護すぎるぞ」
「当然だ。お前は、俺たちの番なんだからな」
「番、か」
俺は、ため息をついた。
確か、あの男もそう言っていたな。
あの男のことを考えただけで、俺の下腹部がもぞっとうごめく。
あの夜、俺の体は、まったく知らない体に作り替えられてしまった。
俺の心とは裏腹に、体があの男を求めている。
そんなこと。
俺は、頭を振った。
気のせいだ。
俺は、俺のままだ。
不意に、テオが俺を抱き上げた。
「わゎっ!」
驚いて声を出した俺の頬へとテオが優しく口づける。俺は、手足をばたつかせてテオに逆らおうとするが、テオは、かまわず俺を運んでいく。
「やめろっ!下ろせ!」
「危ないからじっとしてろ」
テオは、俺を抱いて近くの木陰へと運ぶとそこへと下ろした。
「少し、休んでろ、ティル」
「でも、仕事が」
いいかけたとき、俺の代わりに土魔法で地形を整えているキュウの姿が目に入った。
「飲め」
テオは、俺に冷たい果実水を差し出した。だが、俺は、気分が悪くって飲み物も口にできそうになかった。
しばらく前から食事をとってもすべて吐いてしまうということが続いていた。
俺は、この数日でみるみる痩せ衰えていっていた。
そんな俺を心配してテオとキュウは、かいがいしく世話を焼いてくれていたが、それが今の俺にとってはうっとしかった。
「もう、ほっといてくれ」
俺が冷たく言い放ったのに、テオは、折れなかった。
テオは、俺に持ってきてくれた果実水を口に含むと俺に口づけた。
「うっ・・んっ・・」
俺は、拒みきれずにテオに口移された生ぬるい果実水を飲み込んだ。
「何、する」
テオは、再び果実水を口に含むと俺にとっては口づけようとした。
俺は、仕方なく、テオの手から果実水の入ったコップを奪い取るとそれを自分で飲み干した。
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