８ー７　魔力離れですか？ 　目覚めたとき、俺は、自分がどこにいるのかわまらなかった。 　シロアのいる世界なのか。 　それとも、ガイや、テオたちのいる世界なのか。 　「父様？」 　ルーミアとエリエルが俺の方を見て、俺を呼んだ。 　「おメメさめた？」 　「２人とも・・」 　俺は、子供たちを抱き締めた。 　ルーミアとエリエルは、微かに震えていた。 　この子達も不安だったんだ。 　なのに、俺は。 　「すまなかったな、心配かけて」 　そうだ。 　俺には、まだ、この子たちがいるんだ。 　しっかりしなくては。 　俺は、もとの世界に戻って数日後、ガイたちにシロアの言っていた話をした。 　「破壊獣？」 　ガイが首を傾げた。 　「この世界にいる魔物であれば我々の知らないものは、いないはずだが」 　「これから生まれてくるんじゃないの？」 　奥様がエリエルを膝の上に抱いて耳をもふもふしながら話すと勇者様も頷いた。 　「そうかもしれないっすよ。こっちの世界には今のところ異常はないっすから」 　「いずれにせよ、なんらかの異変があればすぐに我々の知るところとなろう。それより、この子たちの御披露目をしなくてはならんだろう。テオは、ともかく普通のフィオルには、魔力を与える乳母が必要だしな。それも、はやく見つけなくてはならない」 　ガイがいうのをきいて、俺は、テオのことを見た。 　テオは、ルーミアを抱いている。 　そのテオの姿を見ると微笑ましくって。 　俺は、なんだか心がほんわりとしていた。 　テオもだけど、子供たちも今は、俺の魔力を必要としていた。 　俺は、通常の人より魔力量が多いため苦にならないが、普通のフィオルの親は、この頃から子供たちを養い親、つまり乳母に託すものらしい。 　「この子たちの御披露目の際には、その乳母も発表せねばならない」 　それからしばらくは、この子たちの乳母候補との面接なんかで俺は、忙しくなった。 　候補者は、主に魔族の者が多かったけれど、中には、人もいた。 　俺は、何人かの中から、若いフィオルの姉妹を選んだ。 　この２人は、魔王城の食堂で何度か見かけた騎士団のメンバーでなかなかの実力のある姉妹だ。 　きっと、ルーミアたちのよい警護にもなるだろう。 　ルーミアたちは、なかなか俺から魔力離れができなかったが、徐々に乳母たちの魔力を受け入れるようになっていった。