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第3話
コミケ帰り、待ち合わせしたショッピングセンターに向かうと、
「光希!」
龍が尻尾をぶんぶんと振りながら猛ダッシュで駆け寄ってきた。
「光希抱っこ」
「こら、龍成。八歳にもなって抱っこをねだるガキがどこにいる。それに年上を呼び捨てにするバカがどこにいる」
「はい、ここにいます」
思いっきりあっかんべーをする龍。
「兄ちゃん嫌い」
龍はぷいっとそっぽを向いた。
「お兄ちゃん持とうか?」
「ごめんな茉弓」
戦利品が入った紙袋を茉弓に渡した。
「おいで龍成くん」
「龍でいいよ。光希。早く抱っこして」
ニコニコしながら両手を広げられ、よいしょっと抱き上げると、
「光希いい匂いする」
嬉しそうに顔をすりすりさせてきた。
「風呂も寝るのも龍と一緒ね。兄ちゃんって行ったら許さないよ」
「うん、分かった」
「おぃ龍成」
「兄ちゃんには彼女がいるじゃん」
「茉弓とはそういう関係じゃない。てか、 茉弓は高校生だ」
「兄ちゃんむっつりスケベじゃん」
「は?」
通りの真ん中で口喧嘩をはじめた。
遼と龍は昔からこんな感じで、喧嘩するほどすごく兄弟仲が良かった。
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