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第4話

新幹線ホームではじめて会ったとき、ガチガチに緊張していたとは思えないくらい龍はすぐ俺に懐いてくれた。 でも茉弓にはどういう訳かライバル心をめらめらと燃やし毛を逆立てて威嚇していた。 「龍成くん、何度も言ってるけど、茉弓は妹。彼女じゃないよ。頼むからそんなに睨まないで欲しいな」 龍にじーと穴が開くほど見つめられ、額から汗が吹き出した。 「龍、光希を困らせるな。それといい加減下りろ」 「ヤダ。絶対にイヤだ」 首にしがみつき、ぷいっとそっぽを向いた。 「ねぇ光希、首の後ろにあるこれ、なんの痕?水脹れになってるよ。火傷したの?」 「二日前に保育園の夏祭りにボランティアとして参加したとき、園内禁煙なのに煙草を吸っていた保護者がいて。他の保護者と喋るのに夢中になってて俺がいるのに気付かずにぶつかってきたんだ。この通りチビだから、見えなかったみたい」 「は?」 龍の顔色ががらりと変わった。 「ソイツ、ちゃんと光希に謝った?ちゃんと頭を下げてごめんなさいってしたの?ごめん、見えなかったんだ。そう言ってへらへら笑ってなかった?」 「龍成くん……」 まさか小学三年生の龍に矢継ぎ早に質問されるとは思わなくて。たじたじになってしまった。

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