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第5話
「ソイツ、ぶっ殺してやる」
「あ、あのね龍成くん」
「僕の光希に怪我をさせたんだよ。黙って見てろって?」
「もう過ぎたことだし、大げさにしなくていいよ」
「昆!」
龍が遼を呼んだ。
出会った当時は彼が龍の兄だとはまだ知らなかった。
龍成は将来縣一家の組長になる。俺の仕事は、弾よけとして彼を守り、親代わりとして彼を一人前のヤクザに育てることだ。遼からはそう説明された。
「ソイツの首を締め上げておけってだろう?縣一家の若いのは血の気が多いのがやたらといるからな。圧をかけるなど造作もないことだ」
遼が不適な笑みを浮かべた。
あとで知ったことだけど、俺に火傷を負わせておきながら謝りもせず、いちゃもんをつけてへらへらと笑って立ち去ったあの保護者は、縣一家と対立する組織の関係者だったみたいで、俺と茉弓が東京に着いたころ、縣一家の幹部が若い衆を引き連れその保護者宅に乗り込んだ。どんなやり取りがあったかまでは分からないけど、俺が縣一家の跡目に可愛がられていると知り真っ青になったみたい。
その幹部がお盆休みでたまたま家にいた両親のもとにその保護者を連れていき、土下座させ、慰謝料100万を現金で払わせた。
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