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第6話

「家に帰ったら父さんと母さんに怒られる。どうしよう」 父さんは市職員。母さんは中学校教諭。ふたりとも公務員だ。息子がヤクザと関り合いを持っていると知ったら………。 「信孝が誤解のないようにきみの両親に分かりやすく説明したから、泣かれることはあっても怒られることはない」 昆さんの言う通り、両親に怒られることはなかった。父さんと母さんがなぜか涙ぐんでいた。 その理由を知ったのは十四年後だ。 遼と龍と結ばれともに生きることを決意し、ふたりを両親に引き合わせときだった。 「ご子息はいずれ昆と龍成の嫁になる。ヤクザの姐として生きることになる。生きる世界は違えど、昆も龍成も光希を誰よりも愛し大切にする。だから、どうか温かい目で見守ってほしい。信孝さんが頭を下げて私たちに頼んだのよ」 母さんの言葉に驚いた。 「親は子どもの幸せを一番に願うものよ。遼成さんと龍成さんと一緒にいるあなたはとても幸せそうで、いつもニコニコ笑っているんだもの。母さんも父さんもこの十四年間ずっと見てきたんだよ。だから、反対出来る訳ないでしょう。あら、やだ。なんで泣いているのかしら」 母さんがハンカチで涙を拭った。

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