6 / 26

第6話

「家に帰ったら父さんと母さんに怒られる。どうしよう」 父さんは市職員。母さんは中学校教諭。ふたりとも公務員だ。息子がヤクザと関り合いを持っていると知ったら………。 「信孝が誤解のないようにきみの両親に分かりやすく説明したから、泣かれることはあっても怒られることはない」 昆さんの言う通り、両親に怒られることはなかった。父さんと母さんがなぜか涙ぐんでいた。 その理由を知ったのは十四年後だ。 遼と龍と結ばれともに生きることを決意し、ふたりを両親に引き合わせときだった。 「ご子息はいずれ昆と龍成の嫁になる。ヤクザの姐として生きることになる。生きる世界は違えど、昆も龍成も光希を誰よりも愛し大切にする。だから、どうか温かい目で見守ってほしい。信孝さんが頭を下げて私たちに頼んだのよ」 母さんの言葉に驚いた。 「親は子どもの幸せを一番に願うものよ。遼成さんと龍成さんと一緒にいるあなたはとても幸せそうで、いつもニコニコ笑っているんだもの。母さんも父さんもこの十四年間ずっと見てきたんだよ。だから、反対出来る訳ないでしょう。あら、やだ。なんで泣いているのかしら」 母さんがハンカチで涙を拭った。
23
いいね
10
萌えた
0
切ない
0
エロい
16
尊い
リアクションとは?
コメント
2件のコメント ▼

信孝さん( ゚д゚) 14年も前からそんなお願いをしていたとは▪▪▪

ファイヤーさんコメントありがとうございます。 信孝さんは誰よりも兄弟想いです。 だからこそ光希さんにゆくゆくは縣一家の姐さんになってもらいたいと願っていました。 喧嘩ばかりの遼と龍をうまく纏められるのは 光希さんしかいませんからね

ともだちにシェアしよう!