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第14話
「ほら」というように軽く腕を揺する遼。ややおいてからこくんと頷き、おずおずとしがみついた。
周囲からは好奇の眼差しで見られたけど、遼は気にする素振りを見せず、敢えて知らん顔をしていた。
電車が軽く揺れるたび、遼の腕に必死で掴まると、
「きみを見ていると、まだ可愛かったころの龍成を思い出すよ」
遼の顔からは笑顔が零れっぱなしになった。
電車を乗り継ぎ到着したのは臨海公園だった。
海を見て「わぁー、スゲェー海だ!」歓声をあげた俺に、
「福島にも海はあるだろう」
遼に困ったように苦笑いされてしまった。
「海なんて小さい時に、家族で何回か遊びに行ったくらいです。海があるのは浜通りで、俺が住んでいるのは真ん中の中通りです。車で一時間半くらいかかります。わざわざ海に行かなくても四十分圏内に猪苗代湖があります」
「そうだったっな。なぁ、光希」
「はい」
「いや、なんでもない」
遼は何を言おうとしたんだろう。その時はまだ分からなかった。
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