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第15話
波打ち際で遊ぶ家族連れを眺めていたら、一人の男の子が泣きながら砂浜を歩いて来た。周囲をぐるりと見たけど親らしい姿は見当たらなかった。
「迷子かも知れない」
「光希ちょっと待て。その子は……」
遼には止められたけど男の子に駆け寄った。
「もしかしてパパとママとはぐれちゃったの?」
男の子を不安にさせないように笑顔で話し掛けた。
「おきたらね、パパがねいなかった」
「ひとりで怖かったよね。もう大丈夫だよ。一緒にパパを探そう」
男の子はしゃくりあげながらも大きく頷いた。
「お名前言えるかな?」
「ゆづるくん。ごさい」
「よく言えたね。偉いよ」
ついさっきお巡りさんがパトロールしていたから、そんなには遠くには行ってないはず。
きょろきょろと辺りを見ていたら、強面の男たちと目があった。この炎天下にも関わらず揃いも揃って黒いスーツを着ていた。男たちが目の色を変えて一斉に僕の方に向かってきた。あまりの迫力に足が縫い止められたように動かなくなってしまった。
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