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第17話
「どうした光希?」
「いえ、なんでもありません」
心配そうに顔を覗き込まれ、慌てて首を横に振った。
これだけ格好いいんだもの。世の女性だけじゃない、男性もほっとくはずがない。
遼と談笑しながら腕を組んで歩く女性の光景が目に浮かんできて。胸が締め付けられるくらい苦しくなった。
「さっきからぼぉーとして、大丈夫か?ちょっと待ってろ」
遼が通りに並ぶキッチンカーを見つけて走っていった。
「ほら。糖分補給をしろ」
バニラとチョコのミックスのジェラートを差し出された。
「ありがとう遼成さん」
「座るところないな。ちょっと待ってろ」
遼がポケットからハンカチを取り出すとお尻の下に敷いてくれた。
「いいか光希、縣一家の上に昇龍会という大きな組織がある。その昇龍会と仲がものすごく悪いのが九鬼総業だ」
木の枝を拾うと砂の上に字を書いて、分かりやすく説明してくれた。
「さっき会った拝島は九鬼総業の直参の手嶌組 の構成員だ。要注意人物だ。気を付けろ」
「うん、分かった」
「変に誤解を招く前にはっきり言うが、人を好きになるのに男も女も関係ないと俺は思っている。人間同士惹かれあうのは本能みたいなものだろう。だから、信孝から男しか好きになれないと悩みを打ち明けられたときは、それでいいんだ。自分に嘘をつかず正直に生きろ、そう信孝に伝えた。ぶっちゃけ、俺も信孝と同じで女性が苦手だ。かといって男が好きかと聞かれてもすぐには答えられないが」
じっと海を見つめた。
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