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第18話

「光希、付いているぞ」 遼が口元をつんつんした。 「え?嘘」 「そこじゃない」 遼がくすりと笑って口元についたジェラートを指先で掬い取ってくれた。 「うん、美味しい」 その指をぺろっと舐めた。 「りょ、遼成さん」 「どうした?」 慌てふためく僕とは対照的に遼は落ち着いていた。だから余計に恥ずかしくて。心臓がドキドキして破裂しそうになった。 「光希、早く食べないととけるぞ。手についてる。ほら、ズボンにも」 遼は甲斐甲斐しく面倒をみてくれた。まともに顔を見ることが出来なくて、赤面して俯いた。頭が真っ白になってしまい、遼に何を言われたか全く覚えていない。 光希に紹介したい人がいる。遼に言われてマンション近くにある喫茶店に寄った。そこで俺を待っていたのは当時中学三年生だった遥琉だった。 「え?まだ十四歳なの?」 「あぁ、そうだ」 中学三年生とは思えないくらい遥琉は堂々していた。カリスマ性という名のオーラがすでに出ていた。 「彼は龍一家の次男坊だ。龍一家は縣一家と同じで昇龍会の直参の組だ。ぶっちゃけ仲はあまり良くない。互いに足を引っ張り、狸の化かしあいをしているくらいだからな。でも、遥琉だけは、彼だけは唯一信用していい男だ。遥琉、彼が鬼頭光希だ」 「光希さん初めてまして。卯月遥琉です。弟がもうひとり増えたって、遼成さんが自慢ばかりしてくるので、会えるのを楽しみにしていたんです。宜しくお願いします」 「俺のほうこそ宜しくお願いします」 頭を下げられ、慌てて下げた。 遼にとって俺は龍と同じ。弟みたいな存在。だから優しくしてくれるんだ。どう頑張っても恋愛対象になれない。そのときようやくそのことに気付いた。だこら胸が締め付けられるくらい苦しかった。

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