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第21話

こんな風に抱き締められることに慣れていないから、眩暈で気を失ってしまいそうになった。 頬もますます熱いし、心臓の音もみるみる大きくなっている。このまま眠ってしまおうと思っても眠れそうになく、どうしようと思ったときだった。 「K福祉大学の社会福祉学科なんかどうだ?自転車通学すれば通えない距離でもない。知り合いが在学しているんだが、先生が一方的に講義を行うんじゃなく、アクティブ・ラーニングとかいう授業体制らしい。就職にも強く、奨学金制度もかなり充実している。成績が優秀なら四年間全額免除というのもあるみたいだ。光希さえ良ければここで三人で一緒に暮らさないか?」 遼の申し出は涙が出るくらい嬉しかった。 「ごめんなさい。地元で就職したいんだ」 「なんで謝るんだ。謝る必要はないよ。ご両親の側にいたいのは誰だって同じだ。きみの人生だ。卒業してからの進路はきみ自身が決めればいい」 「ありがとう遼成さん」 「寝よう。明日、龍成の子守りで疲れるから」 「うん」こくりと頷いた。明日、龍と遊園地に遊びに行く約束をした。指切りげんまんしたから、破ったらしばらく口をきいてもらえないかも知れない。 目を閉じたものの、心臓の音がやけに喧しくて。もし彼に聞かれたらどうしようとひやひやした。

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