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彼が選んだのは僕じゃなかった

俺は猛勉強の末K福祉大学に合格した。これでやっと遼と龍と三人で暮らせると思ったけど、現実はそう甘くなかった。卒業式を終え、ふたりに会いたくてすぐに上京した俺を待っていたのは、当時十四歳だった一央だった。 ソファに背を沈ませるスーツ姿の遼に全裸の少年がしなだれるように体を預けていた。 「遼は僕のだよ」 ぺろりと遼の唇を舐めて、にっと口角をあげて見せる、タチの悪い笑みを浮かべた。 「光希、これには訳が……」 「遼は黙ってて」 そう言いながら、少年は俺に向かって足を開いた。 すんなりとした長い足、あちこちに白く吸い付くような肌に覆われた肢体、つんと尖っている乳首、先走りで濡れた性器をわざと見せつけられた。 「さっきまで遼とせっくすしてたんだ」 少年は脚の間に手を入れると、粘性のトロリとした液を指で掬いあげた。 「これ、なんだか分かる?遼の精液だよ」 恍惚の表情を浮かべると赤い舌を出しペロリと舐めた。 「遼のカラダは全部僕のものだよ。さっさと出ていけ‼」 「一央止めろ!」 「うるさい‼」 何を勘違いしたのか、嫉妬に狂った一央は、テーブルの上にあったガラス製の灰皿を手に取ると俺に向けて投げ付けた。 でも当たることはなかった。 なぜなら遥琉が身を挺して守ってくれたから。 「顔に当たったら大変だろう。光希、相手にするだけ無駄だ。龍成がそろそろ学校から帰ってくる頃だ。行くぞ」 遥琉は手で受け止めたガラス製の灰皿を床に叩き付けた。 「遼成、捨て猫の躾くらいちゃんとしろ。一央、次はないからな、覚悟しとけ」 腕を引っ張れ、遼と龍と三人で暮らすはずだったマンションをあとにした。

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