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4ヶ月後……

「光希さんも大変ですね」 橘が俺の服にしがみつく龍を見てクスクスと笑い出した。 「そんなに毛を逆立てて威嚇しなくてもいいのにね。光希さんは僕の!でしょう。言わなくても分かってるのに」 橘にちょっと甘めのだし巻き玉子の作り方と、パサパサする鶏むね肉を鶏もも肉みたくふっくらジューシーに揚げる方法を教えてもらった。 「油がはねて火傷したら大変だから、離れていたほうがいいよ」 「火傷しても光希が手当てしてくれるから、離れない」 「え~ちょっと龍成くん」 小学校から帰ってくるなりベッタリで、片時も離れようとしない龍。龍一家の跡取り息子にもし万が一火傷をさせたら、昆に間違いなく半殺しにされる。 「龍成くんはまだ大人の事情は知らないからね。光希さんも大変だ。こういうときは、遥琉と蒼生さんにHELP!!したほうが得策かも」 「それいいかも。あ、でも、俺が呼ぶより橘さんが呼んだほうが効果覿面かも」 「遥琉は仲間を大事にするから、大丈夫だよ」 「そうかな」 「それと僕のほうが年下なので、さん付けはしなくていいです。呼び捨てでいいです」 橘に困ったように苦笑いされてしまった。 「遥琉か蒼生ちょっとHELP!!」 おっかなびっくり、びくびくしながら声をあげると、 「どうした?」 遥琉がすぐに来てくれた。 一目見るなり事情を察してくれて、龍を強制的に連れ出してくれた。

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