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愛と狂気。
あいつは身動きがとれない俺のことを良いことに、下半身を触り続けた。そして、左の耳たぶを甘噛みしてきた。その快感に身体はゾクゾクした。もう自分の体じゃないような、そんな支配が続いた。
「ふふふっ。いいこと教えてあげます。俺はずっと、貴方をみてたって言いましたよね?」
「ンンッ……!」
「――そう、俺は貴方をみてた。はじめは貴方の事を高飛車で嫌なヤツと思ってましたけど、たまに俺に優しくしてくれるところに惹かれたんです。それにこう言ったプライドの塊みたいな人を自分の手で凌辱したら楽しそうだなと思ったんです」
「な、なにっ…――!?」
「だってその方が落としたかいがあるじゃないですか? 俺はそう言う男なんです。だから俺は葛城さんのことが好きでいつも見てました。俺の恋人になってくれないかなって……」
そう言ってあいつは、首筋にキツくキスした。その啄むキスに身体は反応した。
「っ……! や、やめっ…――!」
「この印が一層消えないまま、貴方の体に残ればいいのに…――。貴方を支配した証をこの体に刻んで俺を忘れられなくさせたいです…――!」
「なっ、何をバカなことを……!」
アイツの狂気に呑まれそうな自分を必死で保とうとした。だが、自分の体は自由を奪われて身動きがとれない状態だった。それどころか、体は熱くなる一方だった。
「俺は密かに貴方に接近するチャンスをいつも伺っていました。でも、貴方は全然気づかなかったでしょうけれど――」
「っ……! あっ、阿川いい加減に…――!」
「今日もこうやって接近するチャンスを伺っていたのを貴方は気づいていましたか?」
「なっ、何だと…!?」
「電車で貴方と終点の駅に降りたのは、偶然じゃありません。だって俺は、貴方が会社から出るのをつけてましたから――」
その話を聞いた途端、俺は顔中が一気に青ざめた。阿川はそう話すと目の前でふと笑った。
「焼き鳥も缶ビールも本当は2人分買ったんです。貴方と一緒に飲めたら楽しそうだったし、それにそれを口実に貴方に近づけると思った。でも貴方は俺の誘いにはノってくれないと諦めてました。だって貴方は、俺の事を嫌っていましたし、例え誘っても断るだろうなと思ってましたからね」
「阿川、お前何を言っているんだ…――?」
「だから俺は声をかけれず、そのまま貴方が乗る電車に一緒に乗って貴方を眺めることにしました。貴方はそんな俺の気持ちを知らないはずですけど、俺はそれだけでも幸せでした……」
そう言って淡々と話すあいつに、俺は驚愕を隠せなかった。そして少しつづ狂い始める狂気すら感じた。
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