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理性の崩壊。

 全部吸い出すと、あいつは俺の目の前でわざと吐き出して見せてきた。その光景に体の奥がウズくように熱くなっていくのを感じた。そんな俺のことを見透かしているかのようにあいつは耳元で囁いてきた――。 「葛城先輩は見かけによらず厭らしい人ですね。自分が今、どんな淫乱な姿をさらけ出しているかわかっているんですか?」 「ッ…――!」 「俺に強姦されて何度もイって、まるで変態じゃないですか?」 「それに喘ぎ声も凄かったですよ。まるで女性みたいに感じて、その上に厭らしい声を出してホントに貴方はいけない人だ。自分でそれを自覚してますか?」 「うぅっ…! あっ、阿川……! 頼むからこんな事はやめてくれ、もうこれ以上は耐えられない…!!」  そう言って泣き寝入りするように懇願した。だが、あいつは俺の話なんか聞かずに、耳元に携帯を押し付けてきた。 「ほら、聴いてみます? 葛城さんの喘ぎ声。嫌だとか言ってるわりには随分と感じてますね――?」 「なっ……!?」  あいつはそう言って俺の耳元で、録音した声を無理やり聴かせてきた。携帯からは俺の厭らしい声が聴こえてきた。その声を聴くと体は一気に熱く火照った。 「貴方は淫乱を通り越して変態のマゾですね。自分でそれをちゃんと、わかってますか?」 「ちっ、ちがっ…! ふざけるなっつ!!」 「そうでしょうか?  ほら、ご自身で淫乱か確かめて下さいよ」 「なっ、何だと…――!?」  その言葉に頭の中がカッとなった。だが、あいつは俺の前で携帯を翳すと録音した声を聴かせてきた。  あぁっ……!  イっ……イクっ……!  っぁあああああっっ!  あっあっ……!  あいつは悪戯な笑みを浮かべながら、録音した声をいきなり聴かせてきた。その声は俺の喘ぎ声だった。厭らしく喘ぐ自分の声に、寒気と鳥肌さえも感じた。それがさっきまでの自分だと思うと急に全身が熱くなった。 『ッ……!』  あいつは愕然となる俺を見ながら悪戯にクスクスと笑っていた。そして、俺の中で屈辱感は次第に募ってきた。身動きがとれない苛立ちと自分の体をオモチャのように弄ばれてる事に腹がたった。だが、あいつはそんな俺の苛立ちも気づかずに余裕な表情で笑った。 「まったく嫌じゃないですよ。真面目ぶっても中身は変態の淫乱男なんです。俺にこうされて悦んでいるのが、何よりの証拠じゃないですか――?」 「っ、阿川…! お前いい加減に……!」  カッとなって言い返すと、あいつは俺の前で携帯を翳して写メを撮った。その瞬間、暗闇に包まれた室内に光がたかれた。あいつは俺の体を眺めながらわざとらしく何枚も写メを撮った。そのシャッターを切る音にゾクッと反応した。

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